ハロゲン化ピコリン酸誘導体/亜鉛(II)錯体のインスリン様作用

「はじめに」糖尿病の治療には種々のインスリン製剤や薬剤, 運動療法や食事療法が用いられているが, それらの治療法にはいくつかの問題点がある. 特に, 経口薬剤の副作用の報告は多く, 副作用の少ない薬剤の開発が世界中で行われている. そのような背景下, 種々の金属元素の血糖値降下作用が報告されてきた. 著者らはそれら金属の中でも, 亜鉛に注目し研究を行ってきた[1, 2]. 著者らは, ピコリン酸/亜鉛(II)錯体のインスリン様作用がin vitroで亜鉛イオンより高いことをすでに明らかにした. さらに, 電子供与性の置換基であるアルキル基を導入した, メチルピコリン酸やエチルピコリン酸/亜鉛(...

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Published inBIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 15; no. 1; pp. 85 - 87
Main Authors 小嶋, 良種, 吉川, 豊, 山元, 周平, 植田, 英里好, 梶原, 苗美, 山下, 徹志, 桜井, 弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本微量元素学会 2004
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ISSN0916-717X
1880-1404
DOI10.11299/brte.15.85

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Summary:「はじめに」糖尿病の治療には種々のインスリン製剤や薬剤, 運動療法や食事療法が用いられているが, それらの治療法にはいくつかの問題点がある. 特に, 経口薬剤の副作用の報告は多く, 副作用の少ない薬剤の開発が世界中で行われている. そのような背景下, 種々の金属元素の血糖値降下作用が報告されてきた. 著者らはそれら金属の中でも, 亜鉛に注目し研究を行ってきた[1, 2]. 著者らは, ピコリン酸/亜鉛(II)錯体のインスリン様作用がin vitroで亜鉛イオンより高いことをすでに明らかにした. さらに, 電子供与性の置換基であるアルキル基を導入した, メチルピコリン酸やエチルピコリン酸/亜鉛(II)錯体のインスリン様作用がピコリン酸/亜鉛(II)錯体より高いことも明らかにした[31. 本研究では, 電子吸引性の置換基であるハロゲン基を導入した種々のハロゲン化ピコリン酸/亜鉛(II)錯体を合成し, それらのインスリン様作用をin vitro系で評価した. 2. 実験方法 2-1 配位子及び亜鉛(II)錯体の合成 4-と5-ヨードピコリン酸(4ipaと5ipa)は, 文献既知の方法により合成した[4, 5]. 6-ヨードピコリン酸(6ipa)は, 4-ヨードピコリン酸の合成法に従い行った. 6-クロロピコリン酸(6cpa)は過マンガン酸カリウムを用いる一般的な酸化法により, 6-クロロ-2-メチルピリジンにより合成した.
ISSN:0916-717X
1880-1404
DOI:10.11299/brte.15.85