気管支拡張症の発生病理 気管支拡張症における気管支壁自律神経系の病理組織学的変化

気管支拡張症は胸部疾患としてはかなり多い疾患の一つであり, 古くから非常に多数の臨床的あるいは基礎的研究が行なわれている. しかしながらその発生病理に関しては幾多の説が唱えられているにもかかわらず, 決定的結論に達しているとはいいがたい. 気管支拡張症は, 気道内異物や腫瘍などによるものを除いては原因的疾患や原因的要素が明らかでないものが多い. 幼時の百日咳, 肺炎, 麻疹, ジフテリーなどを原因疾患として重視する学者もあるが, 確実な証拠はない. しかしおおむね, 気道の炎症性疾患が重要な原因として考えられている. 一方われわれは, 当国立中野療養所において, 肺結核症に合併するいわゆる結核...

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Published in医療 Vol. 19; no. 7; pp. 571 - 579
Main Authors 田島, 洋, 飯尾, 正明, 楊, 維垣, 高橋, 竜之助, 手塚, 毅, 馬場, 治賢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1965
医療同好会
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Summary:気管支拡張症は胸部疾患としてはかなり多い疾患の一つであり, 古くから非常に多数の臨床的あるいは基礎的研究が行なわれている. しかしながらその発生病理に関しては幾多の説が唱えられているにもかかわらず, 決定的結論に達しているとはいいがたい. 気管支拡張症は, 気道内異物や腫瘍などによるものを除いては原因的疾患や原因的要素が明らかでないものが多い. 幼時の百日咳, 肺炎, 麻疹, ジフテリーなどを原因疾患として重視する学者もあるが, 確実な証拠はない. しかしおおむね, 気道の炎症性疾患が重要な原因として考えられている. 一方われわれは, 当国立中野療養所において, 肺結核症に合併するいわゆる結核性気管支拡張症を日常多数経験している. その名称の当否はともかく, そしてまたその真実性はさておき, われわれは一応結核を原因として発生した気管支の拡張であると考えている. この一群は「原因疾患の明らかな気管支拡張」ということができる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.19.571