Adult Still's disease (成人スティル病)の一例

著者らは成人スティル病と考えられる一症例を経験したので報告する. 症例は49歳の女性で, 1978年12月より悪感・間欠熱・多発性関節痛および筋肉痛が出現した.他院にて感染症の疑いで,約2年間精査および種々の抗生剤治療を受けたが症状は改善しなかった. 1980年4月28日精査を希望して当院受診し,入院となった.入院時,いくつかの関節に関節炎の所見を認め,肝脾腫も認められた.検査成績では,白血球の著増(22900/mm3,好中球91%),赤沈値の亢進(119mm/h),低色素性小球性貧血があり,血清学的にはRА因子がRAテスト(2+), RAHA 1280倍と陽性を示した.左膝関節液検査では白血...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 5; no. 1; pp. 76 - 82
Main Authors 斉藤, 斉, 市川, 幸延, 高屋, 正敏, 有森, 茂
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床免疫学会 1982
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.5.76

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Summary:著者らは成人スティル病と考えられる一症例を経験したので報告する. 症例は49歳の女性で, 1978年12月より悪感・間欠熱・多発性関節痛および筋肉痛が出現した.他院にて感染症の疑いで,約2年間精査および種々の抗生剤治療を受けたが症状は改善しなかった. 1980年4月28日精査を希望して当院受診し,入院となった.入院時,いくつかの関節に関節炎の所見を認め,肝脾腫も認められた.検査成績では,白血球の著増(22900/mm3,好中球91%),赤沈値の亢進(119mm/h),低色素性小球性貧血があり,血清学的にはRА因子がRAテスト(2+), RAHA 1280倍と陽性を示した.左膝関節液検査では白血球増多(49,700/mm3,好中球98%),グルコースの低下(10mg/dl),補体価の低値(CH50 8.4u/ml)が認められた.種々の細菌学的・血清免疫学的検査によって感染症や他の免疫学的疾患を否定することができた. 多発性関節炎・脾腫を除いて,本症例の臨床症状は, indomethacin (100mg/day)とprednisolone (10mg/day)の併用療法に反応して改善が認められた. 現在までに報告された成人スティル病の特異的臨床症状と本症例を比較するとともに,文献的考察を加えた.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.5.76