勿誤薬室方函口訣に語られる清暑益気湯についての考察 清暑益気湯の同名異方に関する検討
清暑益気湯の同名異方である東垣方・近製方・張三錫新定方について,その来歴と適応病態を調査した。東垣方と近製方の違いについては,浅田宗伯の勿誤薬室方函口訣の記述から,「即効を取るには近製方,老人などの持薬には東垣方」と一般に解釈されている。しかしながら原典に従えば,東垣方よりもむしろ近製方が夏季に病なくとも常用できるように工夫されたものであった。そして近製方は東垣方の補脾益気・清熱・生津の作用を担う中心的構造と見なされる処方であり,人に随って加減せよという指示がある。今回の検討で勿誤薬室方函口訣に記載される張三錫新定方とは,香月牛山が発熱する者のために近製方を変方したものであることが判明したが,...
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Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 367 - 374 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2022
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Subjects | |
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Summary: | 清暑益気湯の同名異方である東垣方・近製方・張三錫新定方について,その来歴と適応病態を調査した。東垣方と近製方の違いについては,浅田宗伯の勿誤薬室方函口訣の記述から,「即効を取るには近製方,老人などの持薬には東垣方」と一般に解釈されている。しかしながら原典に従えば,東垣方よりもむしろ近製方が夏季に病なくとも常用できるように工夫されたものであった。そして近製方は東垣方の補脾益気・清熱・生津の作用を担う中心的構造と見なされる処方であり,人に随って加減せよという指示がある。今回の検討で勿誤薬室方函口訣に記載される張三錫新定方とは,香月牛山が発熱する者のために近製方を変方したものであることが判明したが,これも病症に応じた工夫の一つと言えよう。現在汎用される医療用エキス製剤の清暑益気湯は近製方である。その応用に際しても,病症によって清熱剤や利水剤などを適宜兼用することが有用であると考えられる。 |
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ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
DOI: | 10.3937/kampomed.73.367 |