高齢入院患者における舌背上のカンジダについて 摂取食形態, 唾液分泌量との関係

カンジダ菌は口腔内に常在し, 多様な疾患と関連している。本来口腔には咀嚼による自浄作用が存在し, 食形態によってその作用も影響を受けることが考えられる。そこで, 食形態や咀嚼機能, 食事に関するADLと舌背上のカンジダとの関連にっいて入院中の高齢者105名 (平均年齢80歳) を対象とし調査を行った。結果は以下のとおりであった。 (1) 常食を摂取しているものでカンジダ多数群は24.5%, 粥食を摂取しているものでカンジダ多数群は65.4%に認められ, 軟食摂取のものに舌背上のカンジダ多数群が有意に多く認められた。 (2) 常食を摂取しているものの咀嚼刺激唾液分泌量は1.8ml/min, 軟食...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in老年歯科医学 Vol. 13; no. 1; pp. 23 - 28
Main Authors 菊谷, 武, 鈴木, 章, 稲葉, 繁, 齊藤, 昇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.07.1998
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:カンジダ菌は口腔内に常在し, 多様な疾患と関連している。本来口腔には咀嚼による自浄作用が存在し, 食形態によってその作用も影響を受けることが考えられる。そこで, 食形態や咀嚼機能, 食事に関するADLと舌背上のカンジダとの関連にっいて入院中の高齢者105名 (平均年齢80歳) を対象とし調査を行った。結果は以下のとおりであった。 (1) 常食を摂取しているものでカンジダ多数群は24.5%, 粥食を摂取しているものでカンジダ多数群は65.4%に認められ, 軟食摂取のものに舌背上のカンジダ多数群が有意に多く認められた。 (2) 常食を摂取しているものの咀嚼刺激唾液分泌量は1.8ml/min, 軟食摂取のものは1.1ml/minであり, 常食を摂取しているものの方が有意差に多かった。 (3) 椅子で食事をしているもの, ベッドで食事をしているもののうちカンジダ多数群はそれぞれ8.7%, 52.4%であった。食事の際に介助が必要なもの, 必要のないもののうちカンジダ多数群はそれぞれ39.0%, 65.2%であった。 この結果から食形態唾液分泌量およびADLと舌背上のカンジダ菌の数には関連があることが示された。これにより常食に近い形態の食事を摂取することは, 唾液分泌量を増加させ, 食事による機械的清掃作用, 唾液の抗菌作用および自浄作用は口腔内のカンジダを減少させることが示唆された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.13.23