唾液腺粘表皮癌に対する照射・化学療法の効果

現時点での粘表皮癌に対する, 照射・化学療法の効果を客観的に評価する目的で, 研究を行った.まず, 本邦での現状を知る目的で, アンケート調査を施行した.次に, 欧米ではどの様な治療がなされているか, 文献的解析を行った.最後に代表的な自験例を提示した.以上より解析の結果をまとめると, 照射は, 局所の制御率向上目的で使用され, 高度悪性群に適応があり, とくに切除断端陽性, 神経浸潤, リンパ節転移, 広範進展例に対して予防的に術後照射として役割が認められた.手術不能の進行例では積極的に使用しても良いと思われた.化学療法は遠隔転移の防止が主目的であるが, その使用方法はあくまでも補助的であり...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 11; no. 2; pp. 269 - 276
Main Authors 市川, 銀一郎, 川井田, 政弘, 甲能, 直幸, 中澤, 詠子, 北原, 哲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 28.02.1999
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology1989.11.269

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Summary:現時点での粘表皮癌に対する, 照射・化学療法の効果を客観的に評価する目的で, 研究を行った.まず, 本邦での現状を知る目的で, アンケート調査を施行した.次に, 欧米ではどの様な治療がなされているか, 文献的解析を行った.最後に代表的な自験例を提示した.以上より解析の結果をまとめると, 照射は, 局所の制御率向上目的で使用され, 高度悪性群に適応があり, とくに切除断端陽性, 神経浸潤, リンパ節転移, 広範進展例に対して予防的に術後照射として役割が認められた.手術不能の進行例では積極的に使用しても良いと思われた.化学療法は遠隔転移の防止が主目的であるが, その使用方法はあくまでも補助的であり, 進行例で他に治療法が無い場合に姑息的に用いられる事が多いと思われる.その反応は扁平上皮癌に近く, CDDP, ADM, EXが一次選択のregimenになる.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology1989.11.269