外来患者による大病院選択の規定要因 「国民生活基礎調査」の個票データを用いた実証分析

本研究は、1995年の「国民生活基礎調査」の個票データを使い、外来患者による大病院選択の規定要因を分析した。分析結果から、回答者が自営業者との比較において、不就労ほど、そして、男性ほど、大病院を選択するという結果が得られた。また、分析結果によると、健康状態が悪い場合や、癌、泌尿器科などの病気の場合は、大病院が選択され、健康状態がさほど悪くない場合や、皮膚科、歯科、耳・鼻などの病気の場合は、大病院以外の医療機関が選択されている。それゆえ、大病院とそれ以外の医療機関との間にある程度の役割分担が存在するといえる。経済力を示す変数は、大病院選択において有意でなかったが、この原因として、1992年の医療...

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Published in医療経済研究 Vol. 14; pp. 5 - 16
Main Author 塚原, 康博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医療経済学会/医療経済研究機構 31.03.2004
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ISSN1340-895X
2759-4017
DOI10.24742/jhep.2004.02

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Summary:本研究は、1995年の「国民生活基礎調査」の個票データを使い、外来患者による大病院選択の規定要因を分析した。分析結果から、回答者が自営業者との比較において、不就労ほど、そして、男性ほど、大病院を選択するという結果が得られた。また、分析結果によると、健康状態が悪い場合や、癌、泌尿器科などの病気の場合は、大病院が選択され、健康状態がさほど悪くない場合や、皮膚科、歯科、耳・鼻などの病気の場合は、大病院以外の医療機関が選択されている。それゆえ、大病院とそれ以外の医療機関との間にある程度の役割分担が存在するといえる。経済力を示す変数は、大病院選択において有意でなかったが、この原因として、1992年の医療法の改正から始まった大病院における外来患者の紹介制の影響を指摘できる。大病院への紹介が、患者の経済的な要因ではなく、傷病の重症度や大病院での受療に適した傷病の観点からなされるならば、この現象は説明可能である。
ISSN:1340-895X
2759-4017
DOI:10.24742/jhep.2004.02