高齢者に対するチームアプローチの可能性 歯周病を主訴とした91歳の症例から
人口の高齢化が進む我が国において, 歯科医療従事者の高齢者に対する歯科治療は, 時間がかかり難易度の高いことからますます困難な職務となってきている。 本論文は, 高齢者に対するチームアプローチの重要性と, 治療効果について述べた。患者は91歳男性で, 下顎右側中切歯部の歯肉の疹痛を主訴に1995年5月に当病院に来院した。全顎的には軽度の歯周炎であるが, 残根放置による過蓋咬合が認められた。咬合崩壊を伴った成人性歯周炎の診断のもとに, 歯周病科, 補綴科, 保存科, 矯正科が協力して診査, 治療を行った。歯周基本治療を行い, 可撤性暫問義歯にて顎位を保持した。その後, 歯周ポケットが残存した上顎...
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Published in | 老年歯科医学 Vol. 14; no. 1; pp. 7 - 17 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本老年歯科医学会
31.07.1999
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Subjects | |
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ISSN | 0914-3866 1884-7323 |
DOI | 10.11259/jsg1987.14.7 |
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Summary: | 人口の高齢化が進む我が国において, 歯科医療従事者の高齢者に対する歯科治療は, 時間がかかり難易度の高いことからますます困難な職務となってきている。 本論文は, 高齢者に対するチームアプローチの重要性と, 治療効果について述べた。患者は91歳男性で, 下顎右側中切歯部の歯肉の疹痛を主訴に1995年5月に当病院に来院した。全顎的には軽度の歯周炎であるが, 残根放置による過蓋咬合が認められた。咬合崩壊を伴った成人性歯周炎の診断のもとに, 歯周病科, 補綴科, 保存科, 矯正科が協力して診査, 治療を行った。歯周基本治療を行い, 可撤性暫問義歯にて顎位を保持した。その後, 歯周ポケットが残存した上顎右側犬歯には歯肉剥離掻爬術を施行した。下顎右側中切歯は, 歯周基本治療終了中に自然脱落した。歯周組織と顎位の再評価後, 可撤性暫問義歯を順次歯冠補綴物に置き換えていった。補綴処置終了時, 総咬合力は著明に増加した。その後約3ヵ月毎のメインテナンスに応じ, 初診時より4年が経過している。 本論文は, 高齢者の治療に対してチームアプローチで有効であり, 健康な高齢者においては成人患者同様の歯科治療や咬合再建治療が可能であり, かつ効果的であることを示している。 |
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ISSN: | 0914-3866 1884-7323 |
DOI: | 10.11259/jsg1987.14.7 |