がん関連倦怠感に対する鍼灸治療の症例集積研究 STAS-J症状版による評価および安全性に関する検討
【目的】がん関連倦怠感に対する鍼灸治療について、 症状への影響および安全性を検討すること。 【対象と方法】調査の対象は、 20XX-5年4月から20XX年10月までの期間に倦怠感に対して鍼灸治療を行った緩和ケア入院中のがん患者とした。 診療録を後ろ向きに調査した。 主な調査事項は、 鍼灸治療開始前後のSTAS-J症状版スコアの変化、 有害事象の頻度とした。 【結果】対象に該当したのは30例 (うち女性14例) であった。 全例で標準的な緩和ケアを受けていた。 鍼灸治療開始後1週間以内のSTAS-J症状版が改善した症例は17例 (56.7%)、 不変は13例、 悪化した症例はなかった。 鍼灸の施...
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Published in | 全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 167 - 176 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 全日本鍼灸学会
01.08.2024
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Subjects | |
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ISSN | 0285-9955 1882-661X |
DOI | 10.3777/jjsam.74.167 |
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Summary: | 【目的】がん関連倦怠感に対する鍼灸治療について、 症状への影響および安全性を検討すること。 【対象と方法】調査の対象は、 20XX-5年4月から20XX年10月までの期間に倦怠感に対して鍼灸治療を行った緩和ケア入院中のがん患者とした。 診療録を後ろ向きに調査した。 主な調査事項は、 鍼灸治療開始前後のSTAS-J症状版スコアの変化、 有害事象の頻度とした。 【結果】対象に該当したのは30例 (うち女性14例) であった。 全例で標準的な緩和ケアを受けていた。 鍼灸治療開始後1週間以内のSTAS-J症状版が改善した症例は17例 (56.7%)、 不変は13例、 悪化した症例はなかった。 鍼灸の施術回数は一人あたり14回 (中央値) で、 総のべ施術回数は514回であった。 鍼灸安全対策ガイドラインで定義される有害事象は認めなかった。 【結論】緩和ケアでは多職種によるケアが行われるため、 今回の報告は鍼灸単独の影響を評価したものではない。 しかし、 鍼灸治療開始後1週間以内のSTAS-J症状版が改善した症例が56.7%で、 悪化した症例はなく、 有害事象の発生は認めなかった。 がん関連倦怠感について、 標準的な緩和ケアで症状が改善しないケースに、 鍼灸治療は試みる価値のある方法の1つであると考える。 |
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ISSN: | 0285-9955 1882-661X |
DOI: | 10.3777/jjsam.74.167 |