医療・介護連携の強化に向けたケアマネジメント体制のあり方 多職種による新たな連携システムの検討

現在進められている社会保障制度改革では,医療資源の効率的な活用と医療費増加の抑制を図るため,医療提供体制の改革と地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが求められている.こうした改革を実現させるためには,在宅医療・在宅介護の充実とともに,これらを一体的に提供していくことが必要となるが,現実問題として医療と介護が連携していくのは容易ではない.とりわけ医療分野においては,病院内で提供されている医療を介護施設や在宅で提供していくに当たり,「生活の場」における支援としての医療のあり方や介護との連携方法について,十分に検討していくことが必要とされている.また,医療や看護,リハビリ,介護などそれぞれの分...

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Published in保健医療科学 Vol. 66; no. 6; pp. 650 - 657
Main Author 竹田, 幹雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立保健医療科学院 01.12.2017
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Summary:現在進められている社会保障制度改革では,医療資源の効率的な活用と医療費増加の抑制を図るため,医療提供体制の改革と地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが求められている.こうした改革を実現させるためには,在宅医療・在宅介護の充実とともに,これらを一体的に提供していくことが必要となるが,現実問題として医療と介護が連携していくのは容易ではない.とりわけ医療分野においては,病院内で提供されている医療を介護施設や在宅で提供していくに当たり,「生活の場」における支援としての医療のあり方や介護との連携方法について,十分に検討していくことが必要とされている.また,医療や看護,リハビリ,介護などそれぞれの分野ごとに専門性が高度化しており,ニーズに応じて多様な専門職を活用していくことが求められる中で,一貫した方針と手法に基づいてサービスが提供されなければ,無用な資源の消費を引き起こすだけでなく,支援を受ける人の生活に混乱が生じ,要介護状態の重度化につながってしまう.このような状態を回避するためには,医療と介護の一体的なケアマネジメントを実施できる総合的かつ実践的な方法論の確立が必要になってくるが,現行の介護支援専門員には医療に関する知識が不足しており,医療職には生活の質を考慮する視点に乏しいといった状況が指摘されている.本稿では,これらの課題を踏まえ,個人や事業者レベルでの連携だけに依拠するケアマネジメントには限界があることを明らかにするとともに,事業者から独立した連携支援機関を設置し,多職種で連携を調整する新たなケアマネジメント体制のあり方を提起した.
ISSN:1347-6459
2432-0722
DOI:10.20683/jniph.66.6_650