小児鍼灸に対する保護者の期待と不安に関する意識調査 小児マッサージとの比較から

【目的】日本では関西を中心に小児鍼灸が活用され、 受療には近親者の受療経験の影響が示唆されている。 一方、 日本では鍼灸の受療率は低下傾向にあり、 核家族化傾向も示されている。 以上を踏まえ、 小児鍼灸の受療意識の背景を理解するため、 マッサージを対照に保護者の期待と不安を調査した。 【対象と方法】対象は都内で開催した小児・保護者のセルフケアワークショップ参加保護者50名とし、 調査期間は2016年5~12月とした。 アンケートにて保護者の年齢、 性別、 子どもとの続柄、 就業形態や子育て支援状況、 子供の年齢、 性別などを確認した。  また、 マッサージを対照とし、 鍼灸とマッサージの期待と...

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Published in全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 74; no. 4; pp. 293 - 301
Main Authors 平井, 顯德, 大島, 三千恵, 坂本, 歩, 齊藤, 秀樹, 藤田, 洋輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 全日本鍼灸学会 01.11.2024
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ISSN0285-9955
1882-661X
DOI10.3777/jjsam.74.293

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Summary:【目的】日本では関西を中心に小児鍼灸が活用され、 受療には近親者の受療経験の影響が示唆されている。 一方、 日本では鍼灸の受療率は低下傾向にあり、 核家族化傾向も示されている。 以上を踏まえ、 小児鍼灸の受療意識の背景を理解するため、 マッサージを対照に保護者の期待と不安を調査した。 【対象と方法】対象は都内で開催した小児・保護者のセルフケアワークショップ参加保護者50名とし、 調査期間は2016年5~12月とした。 アンケートにて保護者の年齢、 性別、 子どもとの続柄、 就業形態や子育て支援状況、 子供の年齢、 性別などを確認した。  また、 マッサージを対照とし、 鍼灸とマッサージの期待と不安の各項目を5件法にて調査した。 期待は 『カンムシ、 喘息』 などの症状8項目や 『病気の予防、 リラックス効果』 などの全般的な設問5項目、 不安は 『症状の悪化、 内容、 衛生面、 イメージ、 価格、 効果、 場所、 その他』 とし、 Wilcoxon signed-rank test にて鍼灸とマッサージを比較した。 【結果】回答者は年齢35.0歳 (中央値)、 女性92%、 母親94%、 核家族98%、 共働き46%、 育児への不安を持つ者68%、 育児への相談者がいる者92%であった。 子どもは年齢1歳0か月 (中央値)、 女児50%、 男児48%、 1子が94%であった。 期待では鍼灸・マッサージの各項目の点数は高く (3.0~4.6点:平均値)、 両者に有意な差はなかった。 不安では症状の悪化、 衛生面、 効果において鍼灸の得点が有意に高かった。 【考察・結語】ワークショップに参加した健康志向の高い保護者では、 小児鍼灸・マッサージは高い期待が得られた。 一方で、 症状の悪化、 衛生面、 効果ではマッサージに比較し鍼灸に不安を感じることが示唆された。 その点について、 鍼灸師が知見や安全対策の理解をさらに深め、 広く国民へ情報発信を行うことは、 より小児鍼灸への受療行動に繋がるものと考える。
ISSN:0285-9955
1882-661X
DOI:10.3777/jjsam.74.293