層状性降水における微物理過程の二波長(0.86cm,3.2cm)レーダー観測 第II部降水粒子の粒径分布の変化に関する研究

融解層の下半部や,その下の雨滴の領域において,融解中の雪片や雨滴の併合あるいは分裂による粒径分布の変化が起こっているか否かを,二波長レーダー観測と,モデル計算により調べた。この観測法は,二高度間において粒径分布が変化したときに,これに対するレーダー反射強度の応答が,レーダーの波長に依存しているということを利用している。本論文では,観測の対象となる粒径範囲で,レーダー反射強度に差の出る,波長3.2cm(X•ミンド)と0.86cm(Kバンド)の二台のレーダーを使用した。 観測およびモデル計算から得られた結果からは,一様な降水,すなわち典型的な層状性降水の融解層下半部において,粒了の併合と等価な粒径...

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Published in気象集誌. 第2輯 Vol. 63; no. 6; pp. 1109 - 1126
Main Authors 石坂, 隆, 横山, 辰夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本気象学会 1985
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ISSN0026-1165
2186-9057
DOI10.2151/jmsj1965.63.6_1109

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Summary:融解層の下半部や,その下の雨滴の領域において,融解中の雪片や雨滴の併合あるいは分裂による粒径分布の変化が起こっているか否かを,二波長レーダー観測と,モデル計算により調べた。この観測法は,二高度間において粒径分布が変化したときに,これに対するレーダー反射強度の応答が,レーダーの波長に依存しているということを利用している。本論文では,観測の対象となる粒径範囲で,レーダー反射強度に差の出る,波長3.2cm(X•ミンド)と0.86cm(Kバンド)の二台のレーダーを使用した。 観測およびモデル計算から得られた結果からは,一様な降水,すなわち典型的な層状性降水の融解層下半部において,粒了の併合と等価な粒径分布の変化が起こっていることがわかった。この変化の活発さは,降水強度にはあまり依存していなかった。同様の降水のタイプで,融解層直下の雨滴の領域において,降水強度が比較的大きなときには,中間の粒径(直径0.1~0.25cm)をもった粒子の増加が卓越していた。弱いセル状の構造をもつ非一様な降水では,粒径分布の変化について,明確な情報を得ることができなかった。
ISSN:0026-1165
2186-9057
DOI:10.2151/jmsj1965.63.6_1109