層状雲の散乱透過光の特性 (I)角度分布特性について
雲は大気•地表間の太陽放射エネルギー収支を大きく変化させる。そういった雲の太陽光に対する性質を明らかにすることは重要なことである。 層状雲が存在する時の散乱透過光の天頂角度分布を測定し,更に理論的計算を行うことによって層状雲の散乱光の角度分布特性を明らかにした。すなわち i) 全天雲に覆われた場合の散乱透過光の角度分布は晴天の場合のそれと対称的で(太陽の近傍を除く)天頂方向が明るく,水平方向に近づくにつれて暗くなる。 ii) この分布は雲厚がある程度以上になると(代表的な雲の雲厚にして160m以上)ほぼ一定の形となり,雲厚,雲の種類(粒径分布等),波長,太陽高度角および雲低高度等にあまり依存し...
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Published in | 気象集誌. 第2輯 Vol. 63; no. 6; pp. 1071 - 1081 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
公益社団法人 日本気象学会
1985
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ISSN | 0026-1165 2186-9057 |
DOI | 10.2151/jmsj1965.63.6_1071 |
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Summary: | 雲は大気•地表間の太陽放射エネルギー収支を大きく変化させる。そういった雲の太陽光に対する性質を明らかにすることは重要なことである。 層状雲が存在する時の散乱透過光の天頂角度分布を測定し,更に理論的計算を行うことによって層状雲の散乱光の角度分布特性を明らかにした。すなわち i) 全天雲に覆われた場合の散乱透過光の角度分布は晴天の場合のそれと対称的で(太陽の近傍を除く)天頂方向が明るく,水平方向に近づくにつれて暗くなる。 ii) この分布は雲厚がある程度以上になると(代表的な雲の雲厚にして160m以上)ほぼ一定の形となり,雲厚,雲の種類(粒径分布等),波長,太陽高度角および雲低高度等にあまり依存しない。この角度分布を大きく支配する要素は地表面反射である。 iii) 大気•雲のモデルおよび地表面反射率の値を適切にとれば散乱透過光の角度分布の計算値と測定値はよい一致を示す。このことから逆に層状雲の散乱透過光の測定から地表面反射率の値を推定できることを示唆する。 iv) 層状雲の散乱透過光の角度分布を表わす従来の実験式は理論上からも測定上からも角度分布をよく表現する。 |
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ISSN: | 0026-1165 2186-9057 |
DOI: | 10.2151/jmsj1965.63.6_1071 |