酸化防止剤と金属の複合反応による活性酸素種の産生

食品添加物は,保存料,甘味料,着色料,香料など,食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されている.個別では安全とうたわれていた食品中の化学物質でも生体内で相互的な複合反応を引き起こし,想定外な影響を与える可能性がある.本研究では食品添加物の安全性を評価するために,酸化防止剤と金属の複合反応に着目し,ラジカルを選択的に検出可能な電子スピン共鳴装置(ESR)を用いた活性酸素種(ROS)生成の評価を行った.酸化防止剤と各種金属を反応させたところ,鉄と銅以外のミネラルや微量金属はROSの産生に寄与しなかった.しかし,特定の酸化防止剤は銅と反応することで,ROSが産生されDNAの酸化と切断を引...

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Published in食品衛生学雑誌 Vol. 55; no. 4; pp. 167 - 176
Main Authors 伊藤, 里恵, 斉藤, 貢一, 永森, 裕季, 佃, 優里, 織田, ももこ, 中澤, 裕之, 岩崎, 雄介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.08.2014
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.55.167

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Summary:食品添加物は,保存料,甘味料,着色料,香料など,食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されている.個別では安全とうたわれていた食品中の化学物質でも生体内で相互的な複合反応を引き起こし,想定外な影響を与える可能性がある.本研究では食品添加物の安全性を評価するために,酸化防止剤と金属の複合反応に着目し,ラジカルを選択的に検出可能な電子スピン共鳴装置(ESR)を用いた活性酸素種(ROS)生成の評価を行った.酸化防止剤と各種金属を反応させたところ,鉄と銅以外のミネラルや微量金属はROSの産生に寄与しなかった.しかし,特定の酸化防止剤は銅と反応することで,ROSが産生されDNAの酸化と切断を引き起こし,酸化ストレスを惹起させていることが示唆された.
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.55.167