日本における地表風のスペクトル気候学 第1部40~60日周期の変動
スペクトル気候学の立場から,日本における地表風のスペクトルの地域的変化を調べた。1979~1983年のアメダス時別値を用いて,206地点における地表風のスペクトルを求めた。解析した周期の範囲は,2時間から数年である。 その結果スペクトル特性を気候指標として使用できる可能性が示された。スペクトル分布のうち,10日以下の短周期の部分は局地的地形に,また10日以上の長周期の部分は地理的位置に依存する。日本におけるスペクトルの大半は3つのスペクトル型に分類されるが,南西諸島(24-31°N,123-130°E)のスペクトルは特異のものであった。第1に,通常のピークのほかに40~60日周期の独立したピー...
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Published in | 気象集誌. 第2輯 Vol. 63; no. 5; pp. 873 - 882 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
公益社団法人 日本気象学会
1985
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ISSN | 0026-1165 2186-9057 |
DOI | 10.2151/jmsj1965.63.5_873 |
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Summary: | スペクトル気候学の立場から,日本における地表風のスペクトルの地域的変化を調べた。1979~1983年のアメダス時別値を用いて,206地点における地表風のスペクトルを求めた。解析した周期の範囲は,2時間から数年である。 その結果スペクトル特性を気候指標として使用できる可能性が示された。スペクトル分布のうち,10日以下の短周期の部分は局地的地形に,また10日以上の長周期の部分は地理的位置に依存する。日本におけるスペクトルの大半は3つのスペクトル型に分類されるが,南西諸島(24-31°N,123-130°E)のスペクトルは特異のものであった。第1に,通常のピークのほかに40~60日周期の独立したピークがみられることである。第2に,シノプティックスケールの領域が2~20日と広いことである。この特徴は,海洋性亜熱帯気候と密接な関係があると考えられる。そこで,東西風の分布を調べたところ,40~60日周期の分布によく一致した。さらに,その季節性を数値フィルターと季節別スペクトル解析によって調べた。その結果,40~60日周期の変動は夏から秋に卓越し,また強風と関連があることがわかった。 |
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ISSN: | 0026-1165 2186-9057 |
DOI: | 10.2151/jmsj1965.63.5_873 |