ラック色素のアンモニア処理および構造解析

ラック色素の主成分ラッカイン酸類とコチニール色素の主成分カルミン酸は,アントラキノン骨格を持った水溶性の色素化合物で,その色調は酸性溶液では橙色,中性溶液で赤色,アルカリ性溶液で紫色を示す.カルミン酸をアンモニア処理して得られる4-アミノカルミン酸は酸性条件下でも赤紫色を示し,耐酸性カルミンとして食品に添加される事例が報告されている.本研究はこの報告をもとに,ラック色素をアンモニア処理し,酸性条件下での色調の確認とその主色素成分の構造解析を行った.主色素成分として,4-アミノラッカイン酸Cを同定するとともに,LC/MS分析の結果,アンモニア処理ラック色素は4位のヒドロキシ基にアミノ基が置換した...

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Published in食品衛生学雑誌 Vol. 57; no. 6; pp. 193 - 200
Main Authors 西﨑, 雄三, 石附, 京子, 穐山, 浩, 多田, 敦子, 杉本, 直樹, 佐藤, 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.12.2016
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Summary:ラック色素の主成分ラッカイン酸類とコチニール色素の主成分カルミン酸は,アントラキノン骨格を持った水溶性の色素化合物で,その色調は酸性溶液では橙色,中性溶液で赤色,アルカリ性溶液で紫色を示す.カルミン酸をアンモニア処理して得られる4-アミノカルミン酸は酸性条件下でも赤紫色を示し,耐酸性カルミンとして食品に添加される事例が報告されている.本研究はこの報告をもとに,ラック色素をアンモニア処理し,酸性条件下での色調の確認とその主色素成分の構造解析を行った.主色素成分として,4-アミノラッカイン酸Cを同定するとともに,LC/MS分析の結果,アンモニア処理ラック色素は4位のヒドロキシ基にアミノ基が置換した4-アミノラッカイン酸類を主色素成分とすることが確認された.
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.57.193