Ciprofloxacin注射薬の後期第II相臨床試験
ピリドンカルボン酸系抗菌薬ciprofloxacin (CPFX) 注射薬による中等症以上の内科, 泌尿器科, 外科領域感染症に対する有効性および安全性について検討した。投与量は1日200 mg (分2) または400 mg (分2) を5~14日間点滴静注し, 以下の成績を得た。 1) 総投与症例77例のうち, 有効性評価対象例は70例, 安全性評価対象例は75例であった。 2) 疾患別の臨床効果は, 呼吸器感染症59.1%(13/22例), 尿路感染症50.0%(12/24例), 外科領域感染症61.9%(13/21例) の有効率であった。他剤無効例に対する有効率は50.0%(16/32例...
Saved in:
Published in | 日本化学療法学会雑誌 Vol. 45; no. 10; pp. 833 - 845 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本化学療法学会
25.10.1997
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-7007 1884-5886 |
DOI | 10.11250/chemotherapy1995.45.833 |
Cover
Summary: | ピリドンカルボン酸系抗菌薬ciprofloxacin (CPFX) 注射薬による中等症以上の内科, 泌尿器科, 外科領域感染症に対する有効性および安全性について検討した。投与量は1日200 mg (分2) または400 mg (分2) を5~14日間点滴静注し, 以下の成績を得た。 1) 総投与症例77例のうち, 有効性評価対象例は70例, 安全性評価対象例は75例であった。 2) 疾患別の臨床効果は, 呼吸器感染症59.1%(13/22例), 尿路感染症50.0%(12/24例), 外科領域感染症61.9%(13/21例) の有効率であった。他剤無効例に対する有効率は50.0%(16/32例) であった。1日投与量別の有効率は, 1日200 mg投与で52.8%(19/36例), 400 mg投与では66.7%(20/30例) であった。 3) 細菌学的効果における菌消失率は, 全体で70.7%(58/82株) であった。グラム陽性菌およびグラム陰性菌における菌消失率は, それぞれ56.3%(9/16株), 74.2%(49/66株) であった。 4) 試験薬剤投与に起因すると考えられた副作用は, 5例 (6.7%) に12件認められ, 胸やけ・ショック症状, 痙攣・ショック症状, 注射部位の血管痛・発赤・かゆみ・動悸・胸苦しさ, 嘔気・頭痛, 胸部違和感 (胸痛) 各1例であった。臨床検査値異常は, 13例 (17.6%) に27件認められ, 肝酵素値の上昇が9例, 好酸球増多が2例などであった。 以上の成績から, CPFX注射薬は, 中等症以上の各種感染症に対して, 1日400 mgの投与で有効性が期待された。しかし, 重篤な副作用としてショック症状が2例に認められたことから, 本薬の世界的な評価の動向を見きわめるまで, 本邦における臨床試験は中断すべきであると判断した。 |
---|---|
ISSN: | 1340-7007 1884-5886 |
DOI: | 10.11250/chemotherapy1995.45.833 |