アミノ酸共存下でのビスサリチリデン-エチレンジアミンによるアルミニウムの蛍光定量

水溶液中で大過剰のアミノ酸とビスサリチリデン-エチレンジアミン(BSED)を共存させると,アルミニウム(III)はアミノ酸とサリチルアルデヒドから成るシッフ塩基錯体を生成し,安定で,かつ強い蛍光を発する.この錯体を利用したアルミニウムの蛍光定量法について,6種類のアミノ酸と4種類のBSEDのアルキル誘導体を使用して検討した.検討した錯体の中で,蛍光強度は,アミノ酸にグリシン又はα-アラニンと,ビス(5,5'-ジメチルサリチリデン)エチレンジアミン(DM-BSED)を使用したとき最大であった.この錯体の補正された励起及び蛍光極大波長は360nm及び465mmで,錯形成の最適pHはグリシ...

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Published in分析化学 Vol. 35; no. 5; pp. 487 - 493
Main Authors 青木, 伊豆男, 渡辺, 邦洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.05.1986
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.35.5_487

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Summary:水溶液中で大過剰のアミノ酸とビスサリチリデン-エチレンジアミン(BSED)を共存させると,アルミニウム(III)はアミノ酸とサリチルアルデヒドから成るシッフ塩基錯体を生成し,安定で,かつ強い蛍光を発する.この錯体を利用したアルミニウムの蛍光定量法について,6種類のアミノ酸と4種類のBSEDのアルキル誘導体を使用して検討した.検討した錯体の中で,蛍光強度は,アミノ酸にグリシン又はα-アラニンと,ビス(5,5'-ジメチルサリチリデン)エチレンジアミン(DM-BSED)を使用したとき最大であった.この錯体の補正された励起及び蛍光極大波長は360nm及び465mmで,錯形成の最適pHはグリシン(2.1×10-2mol/l)使用時は5.6,α-アラニン(2.7×10-2mol/l)使用時は5.4であった.DM-BSEDは,全量25mlに対して0.07%溶液1mlの添加が最適であった.生成錯体の組成はアルミニウム1に対してシップ塩基1であり,蛍光量子収率及び蛍光感度指標はそれぞれ0.35及び0.12μmを示した.本法により0.01~5μg/25mlの範囲でアルミニウムが定量可能であった.過剰のアミノ酸は妨害イオンのマスキング効果を示した.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.35.5_487