マスキング剤を用いた高純度ニッケル中の微量ケイ素の定量

高純度ニッケル中の微量ケイ素定量はJIS法では感度的に不十分である.又,微量ケイ素の定量法として用いられているフッ化物分離法では,マトリックスのニッケル量が増えると硫酸ニッケルの沈殿が生じ,ケイ素の揮発分離が阻害されるため,ppmオーダまでのケイ素の定量しかできない.そこで,クエン酸を用いてニッケルをマスキングすることとし,微量ケイ素の定量に必要な諸条件を検討した.本法では試料量を1gまで増やすことが可能となり,その場合のケイ素の検出限界(3σ)は0.09ppm,回収率は約97%であった.さらに,数種類の高純度ニッケルについて本法を適用したところ良好な結果が得られ,ケイ素1ppm以下の試料につ...

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Published in分析化学 Vol. 43; no. 4; pp. 289 - 293
Main Authors 清川, 政義, 山口, 仁志, 長谷川, 良佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.04.1994
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Summary:高純度ニッケル中の微量ケイ素定量はJIS法では感度的に不十分である.又,微量ケイ素の定量法として用いられているフッ化物分離法では,マトリックスのニッケル量が増えると硫酸ニッケルの沈殿が生じ,ケイ素の揮発分離が阻害されるため,ppmオーダまでのケイ素の定量しかできない.そこで,クエン酸を用いてニッケルをマスキングすることとし,微量ケイ素の定量に必要な諸条件を検討した.本法では試料量を1gまで増やすことが可能となり,その場合のケイ素の検出限界(3σ)は0.09ppm,回収率は約97%であった.さらに,数種類の高純度ニッケルについて本法を適用したところ良好な結果が得られ,ケイ素1ppm以下の試料についても十分分析可能であることが分かった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.43.289