超音波ネブライザーとロングトーチの使用による水平配置軸方向観測誘導結合プラズマ発光分析法の感度の改善

超音波ネブライザーにロングトーチ(本法)及び通常トーチを組み合わせた方法を用いて高分解能エッシェル分光器で,水平の誘導結合プラズマ(ICP)の軸方向観測(エンドオン測定)を行った.波長範囲210~770nmにスペクトル線を持つ21元素のICPへの試料導入効果について,又トーチの長さの相違及び噴霧法の相違(超音波ネブライザーとクロスフローネブライザー)による21元素の分析性能等について調べ,比較検討した.ICPへの試料導入割合は平均14%であった.トーチの長さの相違による場合,本法では,正味の発光強度は20~40%増加し,バックグラウンド強度及びその変動は減少した.その結果,BECは1.4~1....

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Published in分析化学 Vol. 48; no. 3; pp. 339 - 347
Main Authors 井出, 邦和, 長谷川, 良佑, 中村, 佳右
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.03.1999
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.48.339

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Summary:超音波ネブライザーにロングトーチ(本法)及び通常トーチを組み合わせた方法を用いて高分解能エッシェル分光器で,水平の誘導結合プラズマ(ICP)の軸方向観測(エンドオン測定)を行った.波長範囲210~770nmにスペクトル線を持つ21元素のICPへの試料導入効果について,又トーチの長さの相違及び噴霧法の相違(超音波ネブライザーとクロスフローネブライザー)による21元素の分析性能等について調べ,比較検討した.ICPへの試料導入割合は平均14%であった.トーチの長さの相違による場合,本法では,正味の発光強度は20~40%増加し,バックグラウンド強度及びその変動は減少した.その結果,BECは1.4~1.7倍,S/σは1.4~1.9倍改善された.検出限界は1.2倍(Ga)~5.2倍(K)改善された.噴霧法の相違による場合,本法では,正味の発光強度は8~15倍増加し,バックグラウンド強度は脱溶媒効果により低下した.BECは7~12倍,S/σは大半の元素が10倍以上の改善があった。検出限界は3.3倍(Zn)~26倍(Ag,Ba)改善された.繰り返し精度は本法でかなりの向上を見たが,ダイナミックレンジは噴霧法の相違やトーチの長さの相違によらずほぼ同等(4~5けた)であった.又,カルシウムの分析線(Ca I 422.673nm)に対するナトリウムの干渉はトーチの長さの相違や噴霧法の相違によらず,いずれの場合にも見られた.又,リン酸の影響はいずれの場合もなかった.本法の有用性を見るため,河川水標準物質(NRCC SRM SLRS-2)を直接定量した結果,一部の元素を除いて認証値とほぼ一致する良好な結果を得た.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.48.339