PIXE法による山菜中微量元素の分析 土壌中濃度との関係

日本アイソトープ協会仁科記念サイクロトロンセンター (NMCC) のPIXE分析システムを用い, 岩手県滝沢村・盛岡市の31地点で採取された同一種類の山菜 (フキノトウ) 中の元素濃度を定量した。更に同時に採取された土壌の元素分析も行い, 山菜中濃度との相関に関する検討を試みた。その結果, フキノトウ中鉛及びクロム濃度は, 地域差が認められたが, 生育土壌中濃度をそのまま反映しないことが明らかになった。フキノトウのヒ素濃度は, 今回分析を行った試料中濃度は大半が1ppm以下であった。アルミニウム, 鉄及び亜鉛濃度に関しては, 市販野菜中濃度と比較して明確な差異は見られなかった。銅に関しては,...

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Published inRADIOISOTOPES Vol. 56; no. 6; pp. 291 - 301
Main Authors 伊藤, じゅん, 斉藤, 義弘, 二ッ川, 章二, 石井, 慶造, 世良, 耕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本アイソトープ協会 15.06.2007
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Summary:日本アイソトープ協会仁科記念サイクロトロンセンター (NMCC) のPIXE分析システムを用い, 岩手県滝沢村・盛岡市の31地点で採取された同一種類の山菜 (フキノトウ) 中の元素濃度を定量した。更に同時に採取された土壌の元素分析も行い, 山菜中濃度との相関に関する検討を試みた。その結果, フキノトウ中鉛及びクロム濃度は, 地域差が認められたが, 生育土壌中濃度をそのまま反映しないことが明らかになった。フキノトウのヒ素濃度は, 今回分析を行った試料中濃度は大半が1ppm以下であった。アルミニウム, 鉄及び亜鉛濃度に関しては, 市販野菜中濃度と比較して明確な差異は見られなかった。銅に関しては, 大部分のフキノトウ中濃度が, 市販野菜と比較して高い値を示し, フキノトウが選択的に銅を濃縮する性質を持つことが示唆された。
ISSN:0033-8303
1884-4111
DOI:10.3769/radioisotopes.56.291