誘導結合プラズマ質量分析法による生体試料中の微量白金の定量

生体試料中のppbレベルのPtの定量に誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を応用した.共存成分によるマトリックス効果については,グルコースはほとんど影響を与えなかったが,塩化ナトリウムは高濃度になるに従ってPtのイオン強度を直線的に減少させた.塩化ナトリウムによるマトリックス干渉は,内標準元素としてInを添加する内標準法の採用により補正できた.生体試料としてウシ胎児血清(FBS)を用い,Ptが1ppbとなるように10倍,100倍希釈した血清,及び酸分解後10倍希釈した血清に添加し,In内標準法でほぼ100%のPtの回収率が得られた.白金のICP-MS測定ではHfOによる分子イオン干渉が深...

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Published in分析化学 Vol. 45; no. 6; pp. 511 - 516
Main Authors 江藤, 徹, 北川, 晋士, 田中, 秀治, 岡本, 研作, 松原, 道夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.1996
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.45.511

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Summary:生体試料中のppbレベルのPtの定量に誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を応用した.共存成分によるマトリックス効果については,グルコースはほとんど影響を与えなかったが,塩化ナトリウムは高濃度になるに従ってPtのイオン強度を直線的に減少させた.塩化ナトリウムによるマトリックス干渉は,内標準元素としてInを添加する内標準法の採用により補正できた.生体試料としてウシ胎児血清(FBS)を用い,Ptが1ppbとなるように10倍,100倍希釈した血清,及び酸分解後10倍希釈した血清に添加し,In内標準法でほぼ100%のPtの回収率が得られた.白金のICP-MS測定ではHfOによる分子イオン干渉が深刻であり,頭髪標準試料ではHfOによる見掛けのPtシグナルが観察された.白金錯体シスプラチンをラットに腹くう(腔)注射後,各臓器中のPtの定量をICP-MSとICP発光分析法を用いて行い,一致したPtの分析値が得られた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.45.511