「二音節動詞+“回来”」の表す統語構造と意味関係について 様態解釈とデキゴト解釈をめぐって

現代中国語において、主体の移動を表す「二音節動詞+“回来”」という形式には統語的、意味的に異なる2つの解釈が存在する。二音節動詞が移動の様態 (Manner) を表す場合、形式全体は述補構造と理解され、二音節動詞が“回来”という移動の開始以前に終了したデキゴトとして理解される場合、形式全体は述連構造となる。 本稿では、動詞が様態を表すか、デキゴトを表すかに基づき二音節動詞をVa (様態) 、Vb (デキゴト) 、Vc (様態/デキゴト) に分類し、それぞれのタイプの動詞がもつ [±継続] [±目的] 等の意味特徴を考察した後、多義形式を構成するVcに重点を置き、「Vc+“回来”」が様態解釈を受...

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Published in中国語学 Vol. 2007; no. 254; pp. 263 - 283
Main Author 島村, 典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本中国語学会 2007
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ISSN0578-0969
1884-1287
DOI10.7131/chuugokugogaku.2007.263

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Summary:現代中国語において、主体の移動を表す「二音節動詞+“回来”」という形式には統語的、意味的に異なる2つの解釈が存在する。二音節動詞が移動の様態 (Manner) を表す場合、形式全体は述補構造と理解され、二音節動詞が“回来”という移動の開始以前に終了したデキゴトとして理解される場合、形式全体は述連構造となる。 本稿では、動詞が様態を表すか、デキゴトを表すかに基づき二音節動詞をVa (様態) 、Vb (デキゴト) 、Vc (様態/デキゴト) に分類し、それぞれのタイプの動詞がもつ [±継続] [±目的] 等の意味特徴を考察した後、多義形式を構成するVcに重点を置き、「Vc+“回来”」が様態解釈を受ける場合、デキゴト解釈を受ける場合のコンテクストを分析した。また、二音節動詞の「陳述性」「指示性」という概念を導入し、これらの概念が 「Vc+“回来”」の様態解釈、デキゴト解釈に密接に関わっていることを示した。
ISSN:0578-0969
1884-1287
DOI:10.7131/chuugokugogaku.2007.263