空気に敏感な有機金属化合物中の炭素,水素及び窒素の定量

酸素や水によって分解しやすい有機金属化合物中の炭素,水素,窒素を定量する方法について検討した.従来法では不活性ガス気流中で試料を目測により密封容器中に移すため,適正な試料量を移し入れるためには試行錯誤を伴うことが多く希少な試料を測定することは困難であった.又,サンプリング用ガラス容器を使用しているために試料を移し入れる際に回りの空気を巻き込み,酸素や水と接触してしまうおそれがあるなどの問題点があった.この点を改善するためにグローブボックスとアルミニウム製密封容器を用いたサンプリング法について検討した.空気に敏感な有機金属化合物としてルテニウム硫黄架橋錯体,及び鉄硫黄架橋錯体中の炭素,水素及び窒...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in分析化学 Vol. 44; no. 1; pp. 83 - 86
Main Authors 渋江, 俊道, 神戸, 久志, 新田, 信, 吉田, 文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 01.01.1995
Online AccessGet full text
ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.44.83

Cover

More Information
Summary:酸素や水によって分解しやすい有機金属化合物中の炭素,水素,窒素を定量する方法について検討した.従来法では不活性ガス気流中で試料を目測により密封容器中に移すため,適正な試料量を移し入れるためには試行錯誤を伴うことが多く希少な試料を測定することは困難であった.又,サンプリング用ガラス容器を使用しているために試料を移し入れる際に回りの空気を巻き込み,酸素や水と接触してしまうおそれがあるなどの問題点があった.この点を改善するためにグローブボックスとアルミニウム製密封容器を用いたサンプリング法について検討した.空気に敏感な有機金属化合物としてルテニウム硫黄架橋錯体,及び鉄硫黄架橋錯体中の炭素,水素及び窒素の定量に応用した結果,酸素や水と接触することなく測定することができ,再現性と精度も良好であった.又,アルミニウム製密封容器の密封操作により生じる重量減少は従来報告されてきた圧着時におけるアルミニウムの削れが原因ではなく,浮力による効果であることを明らかにした.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.44.83