老年前期, 後期, 超高齢者の脳血管障害の実態と比較

65歳以上の老年者4490連続剖検例を老年前期; 65~74歳, 老年後期; 75~84歳, 超高齢者; 85歳以上の3群に分類し加齢と脳血管障害との関係につき検討し以下の結果を得た. 1) 加齢により脳血管性病変を有する頻度は増加し, その主要なものは小病変の増加であった. その原因として加齢による高血圧, 動脈硬化高度例の増加が推定された. 2) 病理所見の検討では出血性病変と梗塞性病変の頻度, 梗塞性病変における深部梗塞と皮質梗塞の頻度は加齢により殆ど変化しなかったが初回発作例の検討では加齢に伴い脳出血, 皮質梗塞で初発する頻度が増加した. 3) 皮質梗塞に占める塞栓性梗塞の頻度は加齢と...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 35; no. 10; pp. 726 - 729
Main Author 名倉, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.10.1998
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.35.726

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Summary:65歳以上の老年者4490連続剖検例を老年前期; 65~74歳, 老年後期; 75~84歳, 超高齢者; 85歳以上の3群に分類し加齢と脳血管障害との関係につき検討し以下の結果を得た. 1) 加齢により脳血管性病変を有する頻度は増加し, その主要なものは小病変の増加であった. その原因として加齢による高血圧, 動脈硬化高度例の増加が推定された. 2) 病理所見の検討では出血性病変と梗塞性病変の頻度, 梗塞性病変における深部梗塞と皮質梗塞の頻度は加齢により殆ど変化しなかったが初回発作例の検討では加齢に伴い脳出血, 皮質梗塞で初発する頻度が増加した. 3) 皮質梗塞に占める塞栓性梗塞の頻度は加齢とともに増加し, その原因としては加齢による心房細動の増加が推定された. 高齢者の脳血管障害では今後塞栓性梗塞の予防が重要なことを指摘した.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.35.726