シスプラチン耐性頭頸部癌多細胞スフェロイドを用いたPaclitaxelの効果
頭頸部腫瘍の化学療法で最も多く使用されているのがCF療法(CDDP+5FU)であるが,このregimenに耐性となった場合,次なる治療が今後の課題である.そこで,CDDP耐性細胞株を用いて固形癌のin vitroモデルシステムである多細胞スフェロイド(MTS)を作製し,これを用いてpaclitaxelの抗腫瘍効果の評価を行った. 使用した細胞は,喉頭癌由来の扁平上皮癌株であるHEp-2細胞および口腔底癌由来の低分化型扁平上皮癌株であるKB細胞,ならびに各々のシスプラチン耐性細胞で,これを単層培養細胞とLiquid overlay culture techniqueにて作製したMTSにおいて薬剤...
Saved in:
Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 103; no. 10; pp. 1177 - 1185 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.10.2000
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.103.1177 |
Cover
Summary: | 頭頸部腫瘍の化学療法で最も多く使用されているのがCF療法(CDDP+5FU)であるが,このregimenに耐性となった場合,次なる治療が今後の課題である.そこで,CDDP耐性細胞株を用いて固形癌のin vitroモデルシステムである多細胞スフェロイド(MTS)を作製し,これを用いてpaclitaxelの抗腫瘍効果の評価を行った. 使用した細胞は,喉頭癌由来の扁平上皮癌株であるHEp-2細胞および口腔底癌由来の低分化型扁平上皮癌株であるKB細胞,ならびに各々のシスプラチン耐性細胞で,これを単層培養細胞とLiquid overlay culture techniqueにて作製したMTSにおいて薬剤効果の比較検討を行った.使用した薬剤はCDDPとpaclitax-elである.殺細胞効果はclonogenic assayを用いて,対照とのコロニー形成率の比較にて効果判定を行った.CDDP耐性株の単層培養細胞は,親株に比較してHEp-2細胞株では15倍,KB細胞では10倍の耐性であるのが確認された.pa-clitaxelは用量および時間依存性に殺細胞効果の上昇が認められた.特に,24時間以上の処理では,HEp-2細胞において単層培養細胞,MTSともに,0.085μg/ml(1×10-7M/L)の低濃度でも生存率10%未満の高い殺細胞効果を認めた.KB細胞では,HEp-2細胞に比べてpaclitaxelの効果が若干劣り,耐性株において生存率10%未満の高い殺細胞効果を得るのに,単層培養細胞ではHEp-2細胞と変わりなかったが,多細胞スフェロイドでは0.085μg/ml(1×10-7M/L)以上の濃度で72時間の長い作用時間を必要とした. 今後,頭頚部扁平上皮癌におけるシスプラチン耐性癌に対して,paclitaxelの抗腫瘍効果が期待される. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.103.1177 |