高齢者の低栄養予防のための知識と健康観に関する研究 第一報 高齢者の健康観および低栄養予防に関する意識調査
日本は世界でも有数の長寿国である.しかし,これからは単に寿命が延びるだけでなく,健康に過ごせる期間,健康寿命の延伸が最大の課題となっている.後期高齢者は,フレイルという健康障害を起こしやすい脆弱な状態を経て,徐々に要介護状態に移行するため,フレイルの予防は健康寿命の延伸に大きく寄与すると考えられる.低栄養はフレイルとの関連が明らかとなっており,フレイルの中核を成す要因でもあることから,フレイルの予防を考えるときには同時に低栄養予防も心掛ける必要がある.つまり,健康寿命の延伸のためには要支援,要介護状態になってから策を講じるのではなく,健康なときより低栄養に関する正しい知識と意識をもって後期高齢...
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Published in | 人間生活文化研究 Vol. 2016; no. 26; pp. 470 - 478 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
大妻女子大学人間生活文化研究所
01.01.2016
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Subjects | |
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ISSN | 2187-1930 |
DOI | 10.9748/hcs.2016.470 |
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Summary: | 日本は世界でも有数の長寿国である.しかし,これからは単に寿命が延びるだけでなく,健康に過ごせる期間,健康寿命の延伸が最大の課題となっている.後期高齢者は,フレイルという健康障害を起こしやすい脆弱な状態を経て,徐々に要介護状態に移行するため,フレイルの予防は健康寿命の延伸に大きく寄与すると考えられる.低栄養はフレイルとの関連が明らかとなっており,フレイルの中核を成す要因でもあることから,フレイルの予防を考えるときには同時に低栄養予防も心掛ける必要がある.つまり,健康寿命の延伸のためには要支援,要介護状態になってから策を講じるのではなく,健康なときより低栄養に関する正しい知識と意識をもって後期高齢期を迎えることが望ましい.しかし,低栄養は日常生活に於いて意識する機会が少ないため,その予防の必要性を認識させることが難しい.そのため,健康な高齢者へ低栄養予防の必要性を認識してもらうには,高齢者の健康に対する価値観や健康観に働きかけることが効果的であると考える. そこで本研究では,高齢者への健康教育を行う際のアプローチ方法や低栄養予防の行動変容を促すための方策を検討することを目的として,健康な高齢者の健康観および健康と栄養に関する知識と関心についての調査を行った. その結果,主観的健康観の高い自立した健康な高齢者は,健康障害や低栄養の予防的な行動を心がけていることが示唆された.また,運動については,食事や栄養よりも重要性を認識しやすく,健康を維持するための行動変容につながりやすいことも明らかになった. |
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ISSN: | 2187-1930 |
DOI: | 10.9748/hcs.2016.470 |