MRSAに対するvancomycinとβ-ラクタム薬のin vitro併用効果

1995年~1997年の3年間に臨床分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 560株に対するvancomycin (VCM) とflomoxef (FMOX), cefpirome (CPR) およびimipenem (IPM) のβ-ラクタム薬とのin vitro併用効果をchecker board法により測定しMICおよびfractional inhibitory concentration index (FIC index) を求め検討した。MRSA 560株に対するVCM単剤のMICはMIC90値で3年間とも1μg...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 47; no. 5; pp. 296 - 302
Main Authors 地主, 豊, 宗景, 正, 吉田, 勇, 木村, 美司, 佐々木, 緊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.05.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.47.296

Cover

More Information
Summary:1995年~1997年の3年間に臨床分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 560株に対するvancomycin (VCM) とflomoxef (FMOX), cefpirome (CPR) およびimipenem (IPM) のβ-ラクタム薬とのin vitro併用効果をchecker board法により測定しMICおよびfractional inhibitory concentration index (FIC index) を求め検討した。MRSA 560株に対するVCM単剤のMICはMIC90値で3年間とも1μg/mlを示し, 4μg/ml以上を示す菌株は1株もなかった。β-ラクタム薬単剤の感受性も3年間で変化はなく, MIC90値はFMOX 128μg/ml, CPR 64μg/mlおよびIPM 64μg/mlを示した。最小FIC indexの検討では, VCMとFMOXおよびVCMとIPMの組み合わせではそれぞれ90%以上の菌株に対して各年度ともにFIC indexが0.5以下の相乗効果が認められ, 残りの菌株はすべて, FIC index 0.5から1.0以下の相加効果を示した。VCMとCPRの組み合わせでは多くの菌株に対して相加効果を示した。また, いずれの組み合わせにおいてもFIC indexが2.0以上の不関および拮抗作用を示す菌株は認められなかった。VCMとFMOXの併用による一定濃度殺菌作用ではVCM 0.5μg/mlとFMOX 2, 4, 8μg/mlを併用した場合にVCM単剤に比べ殺菌作用に増強がみられ, 殺菌作用の面からも併用効果が認められた。これらの成績からVCMとFMOXおよびVCMとIPMの併用はMRSA感染症の治療に有効であることが示唆された。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.47.296