残存歯20本以上を有する高齢者の顎関節症候の実態調査

本研究の目的は, 高齢者における顎関節の状態と口腔内状態 (咬合支持を含めた歯牙欠損状態) との関係を検討することである。今回われわれは, 東京都文京区に在住する80歳以上の高齢者で残存歯20本以上を有する, いわゆる『8020運動』目標達成者61名に対し, 顎関節の状態ならびに口腔内状態の実態調査を行う機会を得た。そこで, 顎関節の状態と性差および口腔内状態との関係について統計学的に検討を行い, 以下の結果を得た。 (1) 顎関節雑音の認められた者は男性8名, 女性14名の合計22名 (36.1%) であった。しかし, 顎関節雑音の自覚が認められた者はいなかった。 (2) 下顎頭の骨形態変化...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 151 - 162
Main Authors 塚原, 宏泰, 依田, 泰, 宮村, 壽一, 依田, 哲也, 坂本, 一郎, 榎本, 昭二, 田中, 久雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.04.1998
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ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.10.151

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Summary:本研究の目的は, 高齢者における顎関節の状態と口腔内状態 (咬合支持を含めた歯牙欠損状態) との関係を検討することである。今回われわれは, 東京都文京区に在住する80歳以上の高齢者で残存歯20本以上を有する, いわゆる『8020運動』目標達成者61名に対し, 顎関節の状態ならびに口腔内状態の実態調査を行う機会を得た。そこで, 顎関節の状態と性差および口腔内状態との関係について統計学的に検討を行い, 以下の結果を得た。 (1) 顎関節雑音の認められた者は男性8名, 女性14名の合計22名 (36.1%) であった。しかし, 顎関節雑音の自覚が認められた者はいなかった。 (2) 下顎頭の骨形態変化の認められた者は男性5名, 女性10名の合計15名 (24.6%) であった。 (3) 開口障害の自覚が認められた者は男性1名, 疼痛の自覚が認められた者も男性1名であった。 (4) 顎関節雑音について, 多変量解析の前進法による判別分析を行ったところ, 女性であること, 大臼歯咬合支持歯数が少ないこと, 両側性第2大臼歯欠損が多いこと, の順に高い関連を認めた。 (5) 下顎頭の骨形態変化について, 多変量解析の前進法による判別分析を行ったところ, 女性であることに高い関連を認めた。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.10.151