外科矯正手術後に惹起した顎関節症状に対して下顎枝垂直骨切り術が奏効を示した1例

下顎枝矢状分割術術後に顎関節症状の再燃を認めた症例に対し下顎枝垂直骨切り術を施行し良好な経過が得られた症例を経験したので報告する。患者は27歳女性で平成6年に左側顎関節の雑音と疼痛を主訴に他施設を受診し顎関節症の診断のもと両側下顎枝矢状分割術および上顎前歯部歯槽骨切り術を施行された。その後左側顎関節部の疼痛の改善は得られたが開口時の左側顎関節のひっかかり感および右側顎関節部の疼痛と左側頬部の膨隆感を自覚するようになり平成10年8月当科を受診した。顔貌所見として左側下顎下縁部に膨隆を認め顎関節症状においては左側顎関節の間歇性ロックおよび右側顎関節の開口時の疼痛および圧痛を認めた。パノラマX線写真...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 11; no. 3; pp. 149 - 155
Main Authors 鶴迫, 伸一, 鶴迫, 有子, 服部, 浩朋, 室橋, 麗子, 瀬上, 夏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 20.12.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-3004
1884-4308
DOI10.11246/gakukansetsu1989.11.149

Cover

More Information
Summary:下顎枝矢状分割術術後に顎関節症状の再燃を認めた症例に対し下顎枝垂直骨切り術を施行し良好な経過が得られた症例を経験したので報告する。患者は27歳女性で平成6年に左側顎関節の雑音と疼痛を主訴に他施設を受診し顎関節症の診断のもと両側下顎枝矢状分割術および上顎前歯部歯槽骨切り術を施行された。その後左側顎関節部の疼痛の改善は得られたが開口時の左側顎関節のひっかかり感および右側顎関節部の疼痛と左側頬部の膨隆感を自覚するようになり平成10年8月当科を受診した。顔貌所見として左側下顎下縁部に膨隆を認め顎関節症状においては左側顎関節の間歇性ロックおよび右側顎関節の開口時の疼痛および圧痛を認めた。パノラマX線写真および正面頭部X線規格写真にて左側下顎下縁部に金属プレートが確認されこれにほぼ一致した部位に周囲と連続した骨膨隆を認めた。顎関節MR撮像において左側顎関節は前方転位を示し, 右側顎関節円板の変形を認めた。顎関節症III型および下顎骨骨腫の診断のもと平成10年8月全麻下において両側下顎枝垂直骨切り術および下顎骨骨瘤除去術を施行, 現在術後8ヵ月を経過するも顎関節症状と顔貌の改善が得られ経過良好である。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.11.149