下肢動脈血栓症, ループス腸炎を併発したループス抗凝固因子陽性SLEの1例

抗リン脂質抗体が関与する動脈血栓症と, 血管炎によると推測されるループス腸炎の合併例を経験した。症例は29歳, 女性。13歳のとき, SLEと診断され, 20歳のときにはループス抗凝固因子 (IgG), 梅毒反応偽陽性が検出された。1年前には間歇性跛行を来し, 抗カルジオリピン抗体が検出された。動脈撮影では, 右膝窩・前脛骨動脈が閉塞しており, 他の臨床症状を合わせて動脈血栓と診断した。 入院中, 腹痛・下痢・便鮮血出現し, サブイレウス状態となった。ステロイドの大量投与によりこの腹部症状が軽快治癒したことより, 腸管壁の多数の細小血管に血管炎の生じる, いわゆるループス腸炎と診断した。...

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Published in皮膚 Vol. 31; no. 6; pp. 794 - 801
Main Authors 栗本, 巌, 調, 裕次, 全, 明, 小塚, 雄民, 橋本, 武則, 河合, 隆治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本皮膚科学会大阪地方会 1989
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Summary:抗リン脂質抗体が関与する動脈血栓症と, 血管炎によると推測されるループス腸炎の合併例を経験した。症例は29歳, 女性。13歳のとき, SLEと診断され, 20歳のときにはループス抗凝固因子 (IgG), 梅毒反応偽陽性が検出された。1年前には間歇性跛行を来し, 抗カルジオリピン抗体が検出された。動脈撮影では, 右膝窩・前脛骨動脈が閉塞しており, 他の臨床症状を合わせて動脈血栓と診断した。 入院中, 腹痛・下痢・便鮮血出現し, サブイレウス状態となった。ステロイドの大量投与によりこの腹部症状が軽快治癒したことより, 腸管壁の多数の細小血管に血管炎の生じる, いわゆるループス腸炎と診断した。
ISSN:0018-1390
1884-541X
DOI:10.11340/skinresearch1959.31.794