リーチ動作の空間記憶に対する視覚性フィードバックの経時的効果
「要旨」本研究の目的は, リーチ動作の空間記憶 (正確さ) に対する視覚性フィードバックの効果を経時的側面から明らかにすることにある. 健常成人18名を対象に実験群と統制群にサンプリングし, 両群ともに椅坐位でのリーチ動作課題を「初日・1日後・3日後・1週間後」に実施した. リーチ動作課題の開始肢位は右上肢体側下垂位とし, 毎回, 右手の示指に朱肉をつけて目標地を目指して閉眼で10回リーチさせた. 目標地は, 各対象者が椅座位で右手を伸ばし, そこから前方30cmの位置の "壁に貼りつけられた模造紙上の直径1cmの点" とした. 実験群には, リーチ動作を1回行うごとに開眼...
Saved in:
Published in | 大和大学研究紀要 保健医療学部編 Vol. 10; pp. 15 - 19 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
大和大学
15.03.2024
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 2432-5597 |
Cover
Loading…
Summary: | 「要旨」本研究の目的は, リーチ動作の空間記憶 (正確さ) に対する視覚性フィードバックの効果を経時的側面から明らかにすることにある. 健常成人18名を対象に実験群と統制群にサンプリングし, 両群ともに椅坐位でのリーチ動作課題を「初日・1日後・3日後・1週間後」に実施した. リーチ動作課題の開始肢位は右上肢体側下垂位とし, 毎回, 右手の示指に朱肉をつけて目標地を目指して閉眼で10回リーチさせた. 目標地は, 各対象者が椅座位で右手を伸ばし, そこから前方30cmの位置の "壁に貼りつけられた模造紙上の直径1cmの点" とした. 実験群には, リーチ動作を1回行うごとに開眼させ, 目標地からどのくらいの誤差が生じたのかを目で見て確認させる方法で, 初日のみ "視覚性フィードバック" を与えた. 統制群には初日からそれを与えなかった. データは目標地と実際の到達位置とのズレ (誤差) を距離で計測し収集した. 結果, 実験群の「初日」において誤差が有意に少なかった. 実験群と統制群の経時的差異は「初日」以外で認めなかった. 本研究で試みた視覚性フィードバックの方法は, 健常成人のリーチ動作における空間記憶 (正確さ) の "即時的効果性" に優れ, "持続的効果性" には乏しいことが示唆された. 今後は, 持続的効果性を生み出すための効率的な方略や各種フィードバックの組み合わせなどについての検討, さらに, 臨床的応用可能性を模索していく必要がある. |
---|---|
ISSN: | 2432-5597 |