重度の両側変形性股関節症および両側変形性膝関節症を呈した四関節に対して人工関節置換術を施行し杖歩行が可能となったチームアプローチについて

「要旨」多関節に対して人工関節置換術を施行する場合, 最終的に左右の下肢長を合わせるため近位関節から施行される. 今回, 四関節のそれぞれの術後ADLを早期改善させることや術後リスク回避のため当初の手術順序を変更し, 一側下肢を完成させ他側下肢へ進めることで患者の負担を軽減させ杖歩行を獲得できた. 症例は78歳の女性. 重度の両側変形性股関節症による内反股, および両側変形性膝関節症による外反膝を呈していた. 右THA後ADL(BI)は65点まで低下し, また右THAと右TKA後脚長差は最大約4.0cm生じたが, 四関節術後では脚長差はなくなりADL(Barthel Index)は100点まで...

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Published in大和大学研究紀要 保健医療学部編 Vol. 8; pp. 53 - 58
Main Authors 岩下篤司, 江口悟, 松原達哉, 松本研二, 梶原良之, 藤長武士, 糸谷圭介, 赤壁知哉, 外山慶一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大和大学 15.03.2022
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ISSN2432-5597

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Summary:「要旨」多関節に対して人工関節置換術を施行する場合, 最終的に左右の下肢長を合わせるため近位関節から施行される. 今回, 四関節のそれぞれの術後ADLを早期改善させることや術後リスク回避のため当初の手術順序を変更し, 一側下肢を完成させ他側下肢へ進めることで患者の負担を軽減させ杖歩行を獲得できた. 症例は78歳の女性. 重度の両側変形性股関節症による内反股, および両側変形性膝関節症による外反膝を呈していた. 右THA後ADL(BI)は65点まで低下し, また右THAと右TKA後脚長差は最大約4.0cm生じたが, 四関節術後では脚長差はなくなりADL(Barthel Index)は100点まで改善した. 10m歩行速度は術前では1分18秒から, 四関節術後では18秒まで改善した. 人工関節置換術後において, 患者自身からみると関節の軸が変化し軟部組織の状態や位置感覚さらに筋出力などが術前とは全く違う環境になることを治療者側は再認識し, リハビリテーションを進めていく必要性があると考えられた.
ISSN:2432-5597