視覚と聴覚の呈示モダリティが記憶課題の成績に与える影響

「要旨」本研究は, リハビリテーション場面における効果的な情報呈示方法を探るため, 視覚と聴覚の呈示モダリティが記憶課題の成績に与える影響を検討した. 参加者は大学生39名で, 単語再生課題と文章再生課題を実施し, 即時再生, 遅延再生, および主観評価を行った. 結果, 即時再生では単語課題で呈示モダリティによる差はなかったが, 文章課題では視覚呈示群が有意に高成績だった. 遅延再生では, 無関係対語の2日後と1週後, および文章の1日後と2日後で視覚呈示群が優位だった. 主観評価では, 聴覚呈示群は視覚呈示群より疲労感が強く, 注意が逸れやすいと感じていた. これらの結果から, 視覚呈示は...

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Published in大和大学研究紀要 保健医療学部編 Vol. 11; pp. 11 - 15
Main Authors 渡辺裕生, 福本倫之, 瀬川大, 森泰祐, 服部雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 大和大学 14.03.2025
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ISSN2432-5597

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Summary:「要旨」本研究は, リハビリテーション場面における効果的な情報呈示方法を探るため, 視覚と聴覚の呈示モダリティが記憶課題の成績に与える影響を検討した. 参加者は大学生39名で, 単語再生課題と文章再生課題を実施し, 即時再生, 遅延再生, および主観評価を行った. 結果, 即時再生では単語課題で呈示モダリティによる差はなかったが, 文章課題では視覚呈示群が有意に高成績だった. 遅延再生では, 無関係対語の2日後と1週後, および文章の1日後と2日後で視覚呈示群が優位だった. 主観評価では, 聴覚呈示群は視覚呈示群より疲労感が強く, 注意が逸れやすいと感じていた. これらの結果から, 視覚呈示は記憶課題において聴覚呈示よりも優位性があり, 疲労感も少なく注意が逸れにくいことが示された. 視覚呈示の優位性の要因として, 記憶ペースのコントロールや再音韻化の可能性が考えられる. 本研究から, 視覚呈示は記憶課題において聴覚呈示よりも優位性があり, 疲労感も少なく注意が逸れにくいことが示された. この知見は, リハビリテーションにおける指示場面で視覚的に情報を呈示することが, 対象者の記憶を支援する有用な方法であることを示唆している. 今後は, 実生活場面に即した視覚呈示方法の検討や追加の検証によって一般性を確認すると同時に, より効果的な情報呈示方法を模索していくことが重要である.
ISSN:2432-5597