関東信越厚生局管内病院の医師事務補助体制の地域集積性-医療保険「医師事務作業補助体制加算」を指標として

「抄録」 平成20年度の診療報酬改定で, 病院勤務医師の事務作業の過度の負担を軽減し専門の医業に専念することを目的として傾斜配分方式の医師事務補助体制加算が導入された. 本研究は, 関東信越10都県499市区町村において本加算を申請した病院の特性と市区町村での普及状況の地域集積性を関東地方厚生局管内の10事務局からの情報公開データを用いて検証すること, 更に同業務体制普及の地域差と新潟県の立ち位置を確認することを目的とした. 解析の結果, 長野県が病院の本加算の申請率(「加算採用病院率(%)」)と一般病床100床当たりの医師事務補助者数(「100床当医事補者数」)の両指標が最も高く, 新潟県は...

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Published in新潟医療福祉学会誌 Vol. 12; no. 2; pp. 17 - 27
Main Authors 瀧口徹, 森脇健介, 山本龍生, 本間久文, 東條猛, 福島正巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 新潟医療福祉学会 30.11.2012
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ISSN1346-8774

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Summary:「抄録」 平成20年度の診療報酬改定で, 病院勤務医師の事務作業の過度の負担を軽減し専門の医業に専念することを目的として傾斜配分方式の医師事務補助体制加算が導入された. 本研究は, 関東信越10都県499市区町村において本加算を申請した病院の特性と市区町村での普及状況の地域集積性を関東地方厚生局管内の10事務局からの情報公開データを用いて検証すること, 更に同業務体制普及の地域差と新潟県の立ち位置を確認することを目的とした. 解析の結果, 長野県が病院の本加算の申請率(「加算採用病院率(%)」)と一般病床100床当たりの医師事務補助者数(「100床当医事補者数」)の両指標が最も高く, 新潟県は前者が5位, 後者は第9位であった. また管内の両指標の市区町村の分布には特徴ある地域集積性の存在が確認された. すなわち, 首都圏は「加算採用病院率(%)」が高い自治体が地理的に集中しており, かつ「100床当医事補者数」も同様に高い水準で分布していた. このため首都圏は二値LISA1)分布でみる地域集積性のパターンのうちHigh-Highの組合わせ(ホットスポット)地域であり病院間に競争原理が働いていることが示唆された. 一方, 両指標とも低いLow-Low(コールドスポット)地域は甲信越の県境付近に集中し, 長野県の県平均は両指標とも10都県中最大にもかかわらず地域集積性は低く, 首都圏と異なりホットスポットを形成していないことが判明した. 北関東(栃木県, 群馬県, 茨城県)は首都圏に隣接する一部を除き地域集積性が検出されなかった.
ISSN:1346-8774