ニホンナシのポリフェノール酸化酵素の精製とその性質およびL-エピカテキン酸化酵素活性
(1) 摘果期のニホンナシ幼果の抽出液から,硫安分画後のDEAE-トヨパールクロマトグラフィーにより,3種類のPPO (F-1,F-IIおよびF-III)がほぼ完全に分離された. (2) F-Iについては,さらにセファデックスG-100によるゲル濾過を行い,ディスク電気泳動的に均一な状態に精製した.その分子量は約56,000と推定された. (3) F-1はクロロゲン酸(Chl),L-エピカテキン(Epi)などのO-ジフェノール類を酸化したが,m-,p-ジフェノールおよびモノフェノールには不活性であった.その最適pHは4.2であり,3~5と活性pH域がきわめて狭い酸性PPOであった. (4) F...
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Published in | 日本農芸化学会誌 Vol. 60; no. 9; pp. 705 - 712 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本農芸化学会
1986
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0002-1407 1883-6844 |
DOI | 10.1271/nogeikagaku1924.60.705 |
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Summary: | (1) 摘果期のニホンナシ幼果の抽出液から,硫安分画後のDEAE-トヨパールクロマトグラフィーにより,3種類のPPO (F-1,F-IIおよびF-III)がほぼ完全に分離された. (2) F-Iについては,さらにセファデックスG-100によるゲル濾過を行い,ディスク電気泳動的に均一な状態に精製した.その分子量は約56,000と推定された. (3) F-1はクロロゲン酸(Chl),L-エピカテキン(Epi)などのO-ジフェノール類を酸化したが,m-,p-ジフェノールおよびモノフェノールには不活性であった.その最適pHは4.2であり,3~5と活性pH域がきわめて狭い酸性PPOであった. (4) F-Iの最適温度は35°付近にみられ,それは他の植物PPOに比べ比較的高い温度でも安定であった.本酵素はシアン化カリウム,フッ化ナトリウムおよび塩化物によって阻害された. (5) F-IIおよびF-IIIの最適pHはEpiやカテコールを基質とした場合7~7.5にみられ,とくに同pHにおけるEpi酸化活性(EpO)が他のPPO活性に比べて著しく高かった.一方chlを基質とした場合は4付近に最適値がみられた.しかし,その活性は最大EpO活性の約20%にすぎなかった. |
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ISSN: | 0002-1407 1883-6844 |
DOI: | 10.1271/nogeikagaku1924.60.705 |