一人平均後期高齢者医療費の二次医療圏における地域偏在と医療・社会経済・生活習慣指標との関連
「要旨」75歳以上の高齢者の二次医療圏単位の一人平均医療費(以下, ME75)は西日本と北海道が高く東日本が低い地理的不均一分布で, いわゆる西高東低北高と呼ばれている. しかし, 地理的不均一分布の確認はマップによる視覚的確認が主体で, 統計学を用いた客観的確認がなされていない. また需給要因等, 原因の統計学的検証が不十分である. そこでME75の地理的不均一分布の統計的確認とその原因に関する解析を本研究の目的とした. 地理的不均一分布の確認には, カイ二乗検定, 2値Moran's Iおよび空間的重回帰分析により交絡因子を調整した多変量地域集積性の定量分析を行うため, GeoD...
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Published in | 新潟医療福祉学会誌 Vol. 20; no. 2; pp. 16 - 24 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
新潟医療福祉学会
30.11.2020
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Summary: | 「要旨」75歳以上の高齢者の二次医療圏単位の一人平均医療費(以下, ME75)は西日本と北海道が高く東日本が低い地理的不均一分布で, いわゆる西高東低北高と呼ばれている. しかし, 地理的不均一分布の確認はマップによる視覚的確認が主体で, 統計学を用いた客観的確認がなされていない. また需給要因等, 原因の統計学的検証が不十分である. そこでME75の地理的不均一分布の統計的確認とその原因に関する解析を本研究の目的とした. 地理的不均一分布の確認には, カイ二乗検定, 2値Moran's Iおよび空間的重回帰分析により交絡因子を調整した多変量地域集積性の定量分析を行うため, GeoDaシステムを利用した. 二次医療圏単位でみた我が国のME75は明らかに西高東低北高型の地域集積性を呈し, その医療経済的な主因として療養病床, 精神病床の人口比率が捉えられた. 西日本のME75は地域包括ケアシステムで求められている高齢者の病院への高アクセス性の傍証とも考えられる. このため, 西日本のシステムを東日本にも広げるのが地域包括ケアシステムの視点から好ましいのか, あるいは医療費高騰による我が国の医療システムの財源枯渇と崩壊を未然に防ぐため, 西日本を東日本と同程度に抑制すべきか, いずれが正解であるのか, 更なる研究が必要である. |
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ISSN: | 1346-8774 |