全身性炎症反応症候群 (SIRS) がバンコマイシンの薬物動態へ与える影響についての検討

「緒言」 塩酸バンコマイシン(vancomycin; VCM)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus; MRSA)よる感染症に対し有効なグリコペプチド系抗菌薬である. 院内感染症において薬剤耐性菌による感染症が問題となっており, 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業では2013年の薬剤耐性菌による新規感染症発症患者の93.7%がMRSAであったことが報告されている. さらに, 敗血症の原因菌としてもMRSAが大きな割合を占めており, 高い死亡率が報告されている. 現在, 各ガイドラインにおいて, VCMがMRS...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 135; no. 5; pp. 745 - 751
Main Authors 入口慎史a, 今井徹b, 吉田善一b, 折井孝男a
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本薬学会 01.05.2015
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ISSN0031-6903

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Summary:「緒言」 塩酸バンコマイシン(vancomycin; VCM)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus; MRSA)よる感染症に対し有効なグリコペプチド系抗菌薬である. 院内感染症において薬剤耐性菌による感染症が問題となっており, 厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業では2013年の薬剤耐性菌による新規感染症発症患者の93.7%がMRSAであったことが報告されている. さらに, 敗血症の原因菌としてもMRSAが大きな割合を占めており, 高い死亡率が報告されている. 現在, 各ガイドラインにおいて, VCMがMRSA感染症に対する第一選択薬として推奨されている. VCMは十分な臨床効果と副作用や耐性菌発現予防を目的に, 薬物治療モニタリング(therapeutic drug monitoring; TDM)を行い, 早期に有効血中濃度を維持することが重要であり, TDMを行うことにより臨床効果が向上し, 腎機能障害の発現率が減少することが報告されている.
ISSN:0031-6903