食品媒介リステリア症と食品製造施設のリステリア汚染 - リステリアの施設定着株を取り巻く話題

「1. はじめに」Listeria monocytogenes(以下, リステリア)は, 古くから人畜共通感染症の原因菌として知られていたが, リステリア症に罹った動物に直接触れたヒト以外の症例はほとんどないと考えられていた. リステリア症が食品媒介であると認識されるようになったのは, 1981年にカナダのNova Scotiaで発生したコールスローサラダを原因食とする大規模な食品媒介リステリア症の集団発生事例以降である. この事例では, サラダの材料であるキャベツがリステリア症のヒツジの糞便に汚染されていた. 以後, 欧米において主にナチュラルチーズを原因食品とするリステリア症が相次いで発生...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 1 - 11
Main Author 中村寛海
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 31.03.2015
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ISSN1340-8267

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Summary:「1. はじめに」Listeria monocytogenes(以下, リステリア)は, 古くから人畜共通感染症の原因菌として知られていたが, リステリア症に罹った動物に直接触れたヒト以外の症例はほとんどないと考えられていた. リステリア症が食品媒介であると認識されるようになったのは, 1981年にカナダのNova Scotiaで発生したコールスローサラダを原因食とする大規模な食品媒介リステリア症の集団発生事例以降である. この事例では, サラダの材料であるキャベツがリステリア症のヒツジの糞便に汚染されていた. 以後, 欧米において主にナチュラルチーズを原因食品とするリステリア症が相次いで発生し, リステリア症は食品媒介感染症であるとの認識が一般的になった. リステリア属菌は通性嫌気性グラム陽性の短桿菌で芽胞および莢膜を有しない. 4, 5本の周毛性鞭毛によって運動性を示し, 半流動培地上ではumbrella growthと呼ばれる特徴的な傘状の発育を示す.
ISSN:1340-8267