メチレンジオキシ・ピロバレロンの中枢神経作用 マイクロダイアリシス法を用いて

脳内局所微量透析法(マイクロダイアリシス法)と高速液体クロマトグラフィーとの組み合わせによって、メチレンジオキシ・ピロバレロン(MDPV)投与によるマウス線条体内神経細胞外のドーパミン (DA) とセロトニン (5-HT) 量の経時的変化を調べた。それに加えて、行動量の測定実験と連続投与による中枢神経損傷の有無について、免疫組織化学による実験をおこなった。マイクロダイアリシスによる生体試料回収は10分間隔で行い、MDPV経口投与から2時間半後までおこなった。線条体内神経細胞外のDA量がMDPV投与から30分の間に210%、30分から60分の間に208%増加した。5-HT量の変化は観察されなかっ...

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Published in化学生物総合管理 Vol. 5; no. 1; pp. 62 - 72
Main Authors 田中, 豊人, 久保, 喜一, 児玉, 亨, 不破, 達, 中江, 大, 本多, 芳子, 小縣, 昭夫, 大橋, 則雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会 2009
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ISSN1349-9041
DOI10.11171/chemobio.5.62

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Summary:脳内局所微量透析法(マイクロダイアリシス法)と高速液体クロマトグラフィーとの組み合わせによって、メチレンジオキシ・ピロバレロン(MDPV)投与によるマウス線条体内神経細胞外のドーパミン (DA) とセロトニン (5-HT) 量の経時的変化を調べた。それに加えて、行動量の測定実験と連続投与による中枢神経損傷の有無について、免疫組織化学による実験をおこなった。マイクロダイアリシスによる生体試料回収は10分間隔で行い、MDPV経口投与から2時間半後までおこなった。線条体内神経細胞外のDA量がMDPV投与から30分の間に210%、30分から60分の間に208%増加した。5-HT量の変化は観察されなかった。MDPVのDA作動性神経作用は類似薬物MDMA、METHと比較して緩やかで、短時間であった。なお、DA量と行動量の変化からマウス線条体内の神経細胞外DA量が200%以上増加すると行動量増加を引き起こすと考えられた。MDPVの神経毒性は今回の実験からは観察されなかった。
ISSN:1349-9041
DOI:10.11171/chemobio.5.62