透析患者に対する緊急CABGの周術期管理に持続血液濾過が有効であった1例

緊急手術を施行された血液透析患者では, 術前からの合併症に加え周術期にはthird spaceへの水分移行による循環虚脱, ガス交換能の悪化, 高カリウム血症のための心機能低下や不整脈などの発生の危険がある。今回, 急性心筋梗塞 (AMI) を発症した透析患者の緊急冠動脈バイパス術 (CABG) の周術期に持続血液濾過 (CHF) を用い, 急激な循環動態の変動を来すことなく管理できたので報告する。症例は57歳の女性, 8年前より血液透析 (HD) を行っていた。AMIを発症し3枝病変を認め緊急CABGとなった。CHFを術前から開始し, 術後も継続したところ, 術中術後とも急激な循環動態の変動...

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Published in蘇生 Vol. 21; no. 1; pp. 32 - 35
Main Authors 東光, 美果, 藤林, 哲男, 安田, 善一, 石本, 雅幸, 川上, 浩文, 福田, 悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 20.05.2002
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Summary:緊急手術を施行された血液透析患者では, 術前からの合併症に加え周術期にはthird spaceへの水分移行による循環虚脱, ガス交換能の悪化, 高カリウム血症のための心機能低下や不整脈などの発生の危険がある。今回, 急性心筋梗塞 (AMI) を発症した透析患者の緊急冠動脈バイパス術 (CABG) の周術期に持続血液濾過 (CHF) を用い, 急激な循環動態の変動を来すことなく管理できたので報告する。症例は57歳の女性, 8年前より血液透析 (HD) を行っていた。AMIを発症し3枝病変を認め緊急CABGとなった。CHFを術前から開始し, 術後も継続したところ, 術中術後とも急激な循環動態の変動なく体液水分バランスの管理が可能だった。透析患者の緊急CABGの周術期管理にCHFは安全で有用な血液浄化法と考えられた。
ISSN:0288-4348
1884-748X
DOI:10.11414/jjreanimatology1983.21.32