当院における転移性尿路上皮癌に対するアベルマブ維持療法の臨床的検討
「抄録」: 「目的」: 当院で施行した尿路上皮癌 (Urothelial carcinoma, UC) に対するアベルマブ維持療法の効果・有害事象について調査し有効性・安全性について検討する. 「対象と方法」: 一次抗癌化学療法後に病勢増悪が認められない転移性のUCに対してアベルマブ維持療法が施行された7症例を対象とし, 奏効率 (Objective response rate, ORR), 病勢制御率 (Disease control rate, DCR), 無増悪生存期間 (Progression-free Survival, PFS), 全生存期間 (Overall Survival,...
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Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 4; pp. 177 - 183 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.04.2023
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0029-0726 |
Cover
Summary: | 「抄録」: 「目的」: 当院で施行した尿路上皮癌 (Urothelial carcinoma, UC) に対するアベルマブ維持療法の効果・有害事象について調査し有効性・安全性について検討する. 「対象と方法」: 一次抗癌化学療法後に病勢増悪が認められない転移性のUCに対してアベルマブ維持療法が施行された7症例を対象とし, 奏効率 (Objective response rate, ORR), 病勢制御率 (Disease control rate, DCR), 無増悪生存期間 (Progression-free Survival, PFS), 全生存期間 (Overall Survival, OS), 有害事象などについて調査した. 「結果」: 年齢の中央値は72歳 (49-82), 男性6例, 女性1例であった. 原発部位は上部尿路が4例, 下部尿路が3例で, 内臓転移はなく骨転移は1例で, 全例にリンパ節転移が認められた. 一次抗癌化学療法について, 施行コース数は6コースが2例, 4コースが5例で, 最大効果はSD (Stable disease) が4例, PR (Partial response) が3例であった. アベルマブの投与コース数の中央値は9コース (1-26) であった. アベルマブ維持療法の最大効果はCR (Complete response) が1例, PRが1例, SDが4例, PD (Progressive disease) が1例であり, ORRは28.6%, DCRは85.7%で, 1年無増悪生存率は64.3%, 1年全生存率は80.0%であった. Grade 3以上の免疫関連有害事象 (Immune-related adverse events, irAE) やinfusion reactionは認められなかった. 「結語」: 更なる症例の蓄積は必要だが, 有害事象が少なくDCRも高いことから, UCに対するアベルマブ維持療法の有効性が示唆された. |
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ISSN: | 0029-0726 |