腫瘍用人工骨頭による股関節置換術を施行した転移性前立腺癌の1例

「抄録」:症例は57歳, 男性. 腰部と右大腿部の痛みを主訴に近医を受診した. 単純X線写真での骨硬化像とPSA高値から骨転移を伴う前立腺癌を疑われ当科紹介となった. 初診時, PSAは433ng/dLであり直腸診で前立腺は石様硬に触れた. 画像検査では腰椎, 仙骨, 恥骨, 右大腿骨頸部から転子部にかけて転移を疑う像を認めたが, リンパ節腫大と他臓器の占拠性病変はなかった. 初診より7日目に経直腸式前立腺生検の迅速病理で腺癌の組織を確認し, 即時の外科的去勢術を施行した. 病理結果を以てGleason score 4+5の前立腺癌cT3bN0M1bと診断した. 腰椎及び仙骨と右大腿骨の転移性...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 2; pp. 47 - 51
Main Authors 和田里章悟, 久住倫宏, 藤原智洋, 山本哲也, 柳井広之, 白石裕雅, 徳永素, 窪田理沙, 市川孝治, 津島知靖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.12.2022
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録」:症例は57歳, 男性. 腰部と右大腿部の痛みを主訴に近医を受診した. 単純X線写真での骨硬化像とPSA高値から骨転移を伴う前立腺癌を疑われ当科紹介となった. 初診時, PSAは433ng/dLであり直腸診で前立腺は石様硬に触れた. 画像検査では腰椎, 仙骨, 恥骨, 右大腿骨頸部から転子部にかけて転移を疑う像を認めたが, リンパ節腫大と他臓器の占拠性病変はなかった. 初診より7日目に経直腸式前立腺生検の迅速病理で腺癌の組織を確認し, 即時の外科的去勢術を施行した. 病理結果を以てGleason score 4+5の前立腺癌cT3bN0M1bと診断した. 腰椎及び仙骨と右大腿骨の転移性骨腫瘍にはそれぞれ30Gyの放射線治療とビスフォスフォネート製剤の投与を行い, 外来通院でアビラテロン内服を開始した. 初診より5カ月後, PSAは低下傾向にあったが, 右大腿骨頸部の病的骨折により入院となった. Activities of Daily Livingが著しく低下し, 骨腫瘍切除術と腫瘍用人工骨頭による再建術を施行した. 荷重部の転移性骨腫瘍については切迫骨折のリスクを評価し, 免荷を指示するかあるいは, 病的骨折を発症する前の外科的介入も検討する必要がある.
ISSN:0029-0726