前立腺癌肉腫の診断で骨盤内臓全摘術後, 再発に対してイホスファミド・ドキソルビシン併用療法を行い病勢安定した1例

「抄録」: 前立腺癌肉腫は症例数が少なく, 予後不良な疾患で, 確立された治療法はない. 今回, 我々は前立腺癌肉腫術後の局所再発に対し, イホスファミド・ドキソルビシン併用療法を行い病勢が安定した1例を経験したので報告する. 症例は60歳台, 男性. PSA 18.9ng/ml, MRIで前立腺癌および精嚢浸潤, 骨盤内リンパ節転移, 骨シンチで右肋骨転移を指摘された. CAB療法を開始し, PSA 0.02 ng/mlと低下したが, PSAが上昇したことを契機に二次治療として, ドセタキセルが導入された. その後, MRIで前立腺は萎縮し, 骨盤内リンパ節は著変なく, 胸腹部に新たな転移巣...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 5; pp. 376 - 380
Main Authors 尾崎陽二郎, 元島崇信, 山中広太郎, 倉橋竜磨, 福島結美, 村上洋嗣, 矢津田旬二, 山口隆大, 杉山豊, 西一彦, 神波大己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.06.2023
Online AccessGet full text
ISSN0029-0726

Cover

More Information
Summary:「抄録」: 前立腺癌肉腫は症例数が少なく, 予後不良な疾患で, 確立された治療法はない. 今回, 我々は前立腺癌肉腫術後の局所再発に対し, イホスファミド・ドキソルビシン併用療法を行い病勢が安定した1例を経験したので報告する. 症例は60歳台, 男性. PSA 18.9ng/ml, MRIで前立腺癌および精嚢浸潤, 骨盤内リンパ節転移, 骨シンチで右肋骨転移を指摘された. CAB療法を開始し, PSA 0.02 ng/mlと低下したが, PSAが上昇したことを契機に二次治療として, ドセタキセルが導入された. その後, MRIで前立腺は萎縮し, 骨盤内リンパ節は著変なく, 胸腹部に新たな転移巣は認められず経過していた. ドセタキセル11コース施行後に, 下腹部痛を認め, MRIで7cm大の巨大な骨盤内腫瘤を認め, 腫瘤の膀胱浸潤および直腸浸潤が疑われた. その後, 骨盤内臓全摘術, 回腸導管施および人工肛門造設術が施行され, 病理結果はSarcomatoid carcinomaであった. 術後3カ月のCTで新規の骨盤内腫瘤と多発肺結節を認め再発と判断し, イホスファミド・ドキソルビシン併用療法を開始. 2コース終了後, 骨盤内再発腫瘤は20%程度の縮小を示し, 多発肺結節は著変なかった. イホスファミド・ドキソルビシン併用療法を8コース施行後, ドキソルビシンは心毒性の観点から中止し, イホスファミド単剤療法を継続し, 病勢は安定している.
ISSN:0029-0726