腎細胞癌骨転移に伴うAAアミロイドーシスを発症した一例

「抄録」: 症例は72歳, 女性. 右腎細胞癌に対してX-14年に全摘出術を施行し, 病理はclear cell carcinoma, G2>G3であった. X-10年に肺転移と, 骨転移を認め, ソラフェニブを計7コース施行したが, PD判定となりX-9年からアキシチニブを導入した. 9年間SDで継続できていたがX年に腸炎とサブイレウスの診断で緊急入院となり, アキシチニブを中止しても水様便および低アルブミン血症が持続した. 小腸生検を施行し, 病理からAA(二次性)アミロイドーシスに伴う蛋白漏出性胃腸症の診断となった. Gaシンチで大腿骨に新規集積を認め, 腎細胞癌骨転移に伴うAAア...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 5; pp. 366 - 370
Main Authors 久高麗鷹, 上川彩乃, 倉橋竜磨, 脊川卓也, 元島祟信, 村上洋嗣, 矢津田旬二, 山口隆大, 杉山豊, 神波大己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.06.2023
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録」: 症例は72歳, 女性. 右腎細胞癌に対してX-14年に全摘出術を施行し, 病理はclear cell carcinoma, G2>G3であった. X-10年に肺転移と, 骨転移を認め, ソラフェニブを計7コース施行したが, PD判定となりX-9年からアキシチニブを導入した. 9年間SDで継続できていたがX年に腸炎とサブイレウスの診断で緊急入院となり, アキシチニブを中止しても水様便および低アルブミン血症が持続した. 小腸生検を施行し, 病理からAA(二次性)アミロイドーシスに伴う蛋白漏出性胃腸症の診断となった. Gaシンチで大腿骨に新規集積を認め, 腎細胞癌骨転移に伴うAAアミロイドーシスと診断した. 転移部に放射線照射を開始し, 一時的に病勢の緩和を認めたが間もなく再燃し, 本人の希望でBSCの方針となり, その1週間後に死亡した. AAアミロイドーシスは, 全身性アミロイドーシスに属しており, アミロイド蛋白が臓器に沈着し障害をきたす疾患である. 全身性アミロイドーシスの癌合併率は7%程度であり, 合併する中で腎細胞癌が最多である. 原疾患のコントロールがアミロイドーシス症状の緩和に重要とされている.
ISSN:0029-0726