三孔先穴式カテーテルによる尿道・膀胱アクセスを用いた当院でのr-TULの臨床成績

「抄録:」硬性尿管鏡で行う腸骨動脈交叉部以下の尿管結石に対する経尿道的尿管結石破砕術(rigid transurethral lithotripsy : r-TUL)の場合, 還流で使用する生理食塩水がそのまま膀胱内に貯留し還流不良が生じることで, 尿管口の角度が変わり手術に難渋する. 従来, 下部尿管結石症に対する手術では, 硬性尿管鏡の横から細径カテーテルを挿入することや, 硬性膀胱鏡の外筒を挿入し, その中に硬性尿管鏡を通し操作するといった工夫を行ってきた. しかし, 細径カテーテル使用時では硬性尿管鏡の操作困難があることや, 硬性膀胱鏡の外筒を使用した場合は, 挿入による尿道損傷や外筒...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 85; no. 6; pp. 396 - 399
Main Authors 新井明那, 新井欧介, 曽我部裕文, 尾澤彰, 伊勢田徳宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2023
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録:」硬性尿管鏡で行う腸骨動脈交叉部以下の尿管結石に対する経尿道的尿管結石破砕術(rigid transurethral lithotripsy : r-TUL)の場合, 還流で使用する生理食塩水がそのまま膀胱内に貯留し還流不良が生じることで, 尿管口の角度が変わり手術に難渋する. 従来, 下部尿管結石症に対する手術では, 硬性尿管鏡の横から細径カテーテルを挿入することや, 硬性膀胱鏡の外筒を挿入し, その中に硬性尿管鏡を通し操作するといった工夫を行ってきた. しかし, 細径カテーテル使用時では硬性尿管鏡の操作困難があることや, 硬性膀胱鏡の外筒を使用した場合は, 挿入による尿道損傷や外筒の長さに伴う挿入制限, 保持の困難が問題となっていた. これらの問題点を改善するため, 三孔先穴式カテーテルを用いる工夫を考えた. 当方法では砕石や抽石, 抽石後の再アプローチの時間の短縮による手術時間の短縮, 粉塵のドレナージによる良好な視野を得ることに加え, 腎や膀胱への圧の減少をはかることが可能となる. また, 術者の技量に関わらず, 安全に施行できることも利点として挙げられる. 当院で施行しているr-TULについて, 経験症例に加え, 若干の文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0029-0726