透析患者に認めたフルニエ壊疽の一例
抄録:フルニエ壊疽は, 1883年フランス人医師Fournierにより報告された, 男性に好発し急速に進行する外陰部壊死性筋膜炎の総称である. 予後不良とされている本疾患であるが, 維持透析中に発症し救命できた一例を報告する. 患者は63歳, 男性. 末期腎不全に対して維持透析中であった. 他院で血液透析中にショックバイタルとなり, 当院に緊急搬送された. 身体所見では両側陰嚢に高度の炎症所見を認め, CT, MRIにて両側陰嚢の腫大と皮下脂肪織の濃度上昇を認めた. また, 陰嚢内や前立腺にガス像を認めた. 精巣上体炎, 前立腺膿瘍と併発したフルニエ壊疽と診断し, 可能な限り迅速にドレナージ,...
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Published in | 西日本泌尿器科 Vol. 84; no. 5; pp. 588 - 592 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本泌尿器科学会
01.06.2022
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Summary: | 抄録:フルニエ壊疽は, 1883年フランス人医師Fournierにより報告された, 男性に好発し急速に進行する外陰部壊死性筋膜炎の総称である. 予後不良とされている本疾患であるが, 維持透析中に発症し救命できた一例を報告する. 患者は63歳, 男性. 末期腎不全に対して維持透析中であった. 他院で血液透析中にショックバイタルとなり, 当院に緊急搬送された. 身体所見では両側陰嚢に高度の炎症所見を認め, CT, MRIにて両側陰嚢の腫大と皮下脂肪織の濃度上昇を認めた. また, 陰嚢内や前立腺にガス像を認めた. 精巣上体炎, 前立腺膿瘍と併発したフルニエ壊疽と診断し, 可能な限り迅速にドレナージ, デブリードマン, 広域抗菌薬による加療を行い救命し得た. 本疾患は糖尿病, 悪性疾患, 肝硬変, 血液透析中などの易感染性患者にて重症化する可能性が高いとされる. 本症例でも血液透析中という予後不良因子が併存疾患として存在したが, 診断後より迅速で積極的な治療を行い救命することができた. 血液透析患者に発症したフルニエ壊疽についての文献的考察と, 救命しえた原因に対する考察を含めて報告する. |
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ISSN: | 0029-0726 |