PK/PD解析に基づくarbekacinの至適投与法

抗MRSA薬のarbekacin (ABK) について, 至適投与法を大規模な症例で検証した報告は少ない。今回, われわれはMRSA肺炎患者におけるABKの単回投与法と複数回投与法の有用性を比較するとともに, pharmacokinetics (PK), pharmacodynamics (PD), およびPK/PDパラメータに基づいた至適投与法を検討した。対象は1998年4月~2005年3月にMRSA肺炎のためABKを1日200mg投与された患者とし, 診療録をレトロスペクティブに調査した。血中濃度は投与開始3~7日目の投与1hr値を最高血中濃度 (Cpeak), 投与直前値を最低血中濃度...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 54; no. 1; pp. 18 - 24
Main Authors 斉京, 明子, 相馬, 一亥, 矢後, 和夫, 砂川, 慶介, 小林, 昌宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.01.2006
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.54.18

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Summary:抗MRSA薬のarbekacin (ABK) について, 至適投与法を大規模な症例で検証した報告は少ない。今回, われわれはMRSA肺炎患者におけるABKの単回投与法と複数回投与法の有用性を比較するとともに, pharmacokinetics (PK), pharmacodynamics (PD), およびPK/PDパラメータに基づいた至適投与法を検討した。対象は1998年4月~2005年3月にMRSA肺炎のためABKを1日200mg投与された患者とし, 診療録をレトロスペクティブに調査した。血中濃度は投与開始3~7日目の投与1hr値を最高血中濃度 (Cpeak), 投与直前値を最低血中濃度 (Ctrough) とした。エンドポイントは臨床的効果。細菌学的効果および腎機能障害発現の有無とした。解析可能患者は111例であった。x2testによる投与法の比較では, 単回投与法が優れている傾向が認められ, 臨床的有効性については統計学的に有意であった (P=0.048)。多重ロジスティック回帰分析の結果, 臨床的有効性としてCpeak [P=0,008, Oddsratio (OR)=1.27, 95% Confidential Interval (95%CI)=1.06~157], 細菌学的有効性としてCpeak/MIC [p=0.016, 0R=122, 95%CI=1.04~1.77], 腎機能障害発現としてCtrough [p=0.002, OR=2.00, 95%CI=1.32~334] および患者年齢 [p=0.046, 0R=1.06, 95%CI=1.01~1.14] が有意な指標とされた。腎機能障害回避のためには加齢を加味した目標Ctroughの設定が必要であることが示された。また目標Cpeakの上限設定については再考が必要であった。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.54.18