ヒト歯髄のリンパ管に関する酵素組織化学的研究

ヒト歯髄におけるリンパ管を酵素組織化学的手法により検索した。試料としてヒト上下顎第三大臼歯を用い, 抜歯後ただちに歯髄組織のみを摘出してcryostat内で厚さ約10μmの横断凍結切片を作成した。これらの切片は固定後に5'-Nase単独あるいは5LNase-ALPase二重染色を施し, 光顕, 走査電顕, および透過電顕にて観察した。5'-Nase活性はリンパ管のみに認められ, 光顕的にリンパ管は黒褐色に, また血管はALPase反応により青色に染め分けられた。また, ALPase活性はリンパ管の周囲にもみられたが, この意義は不明である。5'-Nase反応陽性を...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 37; no. 6; pp. 437 - 446
Main Authors 青山, 洋子, 吉田, 重光, 野田坂, 佳伸, 鈴木, 正嗣, 小口, 春久
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 20.12.1995
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Summary:ヒト歯髄におけるリンパ管を酵素組織化学的手法により検索した。試料としてヒト上下顎第三大臼歯を用い, 抜歯後ただちに歯髄組織のみを摘出してcryostat内で厚さ約10μmの横断凍結切片を作成した。これらの切片は固定後に5'-Nase単独あるいは5LNase-ALPase二重染色を施し, 光顕, 走査電顕, および透過電顕にて観察した。5'-Nase活性はリンパ管のみに認められ, 光顕的にリンパ管は黒褐色に, また血管はALPase反応により青色に染め分けられた。また, ALPase活性はリンパ管の周囲にもみられたが, この意義は不明である。5'-Nase反応陽性を示すリンパ管は, 走査電顕 (反射電子像) 的に明瞭なハイライト像として認められるとともに, 透過電顕的にもリンパ管の微細構造学的特徴を示していた。なお, 管腔の広いリンパ管は主に歯髄中央部に, また管腔の狭い毛細リンパ管は歯髄中央部と歯髄周辺部にみられたが, 今回の検索では象牙芽細胞層の中には認められなかった。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.37.437