慢性気管支炎の急性増悪に対するbiapenemの治療効果と臨床用量の検討

注射用カルバペネム系抗菌薬biapenem (BIPM) の慢性気管支炎の急性増悪に対する治療効果と臨床用量を検討する目的で, imipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬として電話登録法による3群比較試験を実施した。投与薬剤群はBIPM150mg×2/日 (L群), BIPM300mg×2/日 (H群), IPM/CS500mg/500mg×2/日 (C群) とし, 投与期間は14日間以内とした。総症例35例中, 有効性の解析対象例数は32例 (L群10例, H群10例, C群12例) であった。 1) 臨床効果: 有効率はL群100%(10/10), H群90.0%(...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 48; no. 1; pp. 34 - 44
Main Author 松本, 文夫他
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.01.2000
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.48.34

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Summary:注射用カルバペネム系抗菌薬biapenem (BIPM) の慢性気管支炎の急性増悪に対する治療効果と臨床用量を検討する目的で, imipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬として電話登録法による3群比較試験を実施した。投与薬剤群はBIPM150mg×2/日 (L群), BIPM300mg×2/日 (H群), IPM/CS500mg/500mg×2/日 (C群) とし, 投与期間は14日間以内とした。総症例35例中, 有効性の解析対象例数は32例 (L群10例, H群10例, C群12例) であった。 1) 臨床効果: 有効率はL群100%(10/10), H群90.0%(9/10) およびC群91.7%(11/12) であった。また, 早期の治療効果を評価する3日後における臨床効果の有効率はL群60.0%(6/10), H群90.0%(9/10) およびC群58.3%(7/12) であり, H群がもっとも高かった。 2) 細菌学的効果: 菌消失率はL群100%(6/6), H群100%(3/3) およびC群100%(9/9) であった。 3) 副作用: C群の1例 (8.3%) にのみ, 中等度の薬熱・薬疹が認められた。 4) 臨床検査値異常: 発現率はL群20%(2/10), H群33.3%(4/12) およびC群20%(2/10) であり, いずれも軽度のものであった。 5) 有用性: 有用率はL群100%(10/10), H群90%(9/10) およびC群83.3%(10/12) であった。 以上, いずれの評価においても3群間に有意差は認めなかったが, 薬剤の早期の治療効果を反映する3日後の臨床効果における有効率が300mg×2/日投与群でもっとも高い成績であり, BIPMの300mg×2/日投与は早期に効果が得られると推察され, 本薬の慢性気管支炎に対する臨床用量は300mg×2/日と考えられた。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.48.34